ものづくり補助金に関するHPを作成したところ、採択後について、調べようとしている方が非常に多いという事に気が付きました。
そこで、今回は、ものづくり補助金採択後について解っている事を以下に記してみたいと思います。
中央会の方が、ものづくり補助金採択後を解説しようとする、このページの存在を知った時、下記のように思われるはずだと思います。
“勝手な事を書いて採択者を惑わせないで欲しい”
“毎年、色々と変わっているので、過去の内容を参考にされても困る”
“都道府県によって、様々なやり方があるので、自分の県とは違う情報を与えないで欲しい”
勿論、以下は、その事を出来る限り考慮に入れて作成させて頂きます。
そして、読む側の皆さんも、上記の問題点を無視して、この文章が作成されているという事を十分に考慮して下さい。
勿論、以下の文章によって発生した不利益に関して、私共は一切の責任を負いません。
しかし、それでもなお、下記を作成する理由は、採択された側の担当者は、本当に困ってしまう場合が多いからです。
ものづくり補助金は、素晴らしい補助金です。
何故ならば、本当の零細企業でも採択されるからです。
有限会社は勿論の事、合資会社や、任意団体レベルでも採択例がありますし、いわゆる3チャン企業でも採択されています。
これまでの補助金は、零細企業の採択など、まずは、考えられないものでした。
しかし、大前提として、零細企業は多くの場合、実力が乏しいのです。
ここで言う、実力とは、お役人の言葉で書いてある、多くの書類を理解して、それに即した書類作りをするという事や普段は使い慣れないパソコン操作を行わねばならないという事を指します。
お役人が難しい言葉を使おうとする理由は、お役人にしてみれば差しさわりの無い表現を行う事によって、誤解を無くし、仕事の効率を上げるという事が目的です。
筆者も、多数の人に読まれるような書類を作成する場合は、どうしても、お役人的な表現を使わざるを得ません。
しかし、その事が、零細企業にとっては、凄く解りにくい内容となってしまうのです。
■いじわる説明会■
ここで、まず、第一に問題になるのは、
採択直後開催される採択企業に対する説明会です。
筆者は、この説明の事を“いじわる説明会”と呼んでいます。
お役人さんのお立場から考えれば“ひどい事を言ってる”と思われるやもしれません。
筆者が“いじわる説明会”だと思う理由を述べたいと思います。
多くの都道府県の場合、
-
1時間半、喋りっぱなし
慣れていない零細企業の年配社長には、かなりつらいはず。
-
質問時間無し
質問を受けるときりが無くなるからだと思いますが
質問無しの説明会って成立するんですね?筆者は驚きました。
-
ほとんどの会社が関係の無い部分の説明が多過ぎる
半分以上関係の無い、例えば専門家への赦金とか交通費とか。
-
“こんな事はしないでくれ”という逆説的な話が多い
これでビビってしまう人が、かなり居るようでした。
結果的に、説明会直後に採択されたにも関わらず辞退する企業が、2割~3割発生しているようです。
筆者は、これは、とっても残念な事だと思うのです。
“そんなにプレッシャーを与えなくても良いのに”と言うのが感想です。
確かに、採択企業が、これ以降の書類作成作業に手を抜くと、各都道府県の担当者の方は、きっと大変になってしまうでしょう。
でも、お役人さん達には、
“辞退させておけば、俺達の仕事が減る”などとは考えて欲しくはありません。
ここで提案ですが、説明会の前に想定問題集を作っては如何でしょうか?
そして、“質問を受けると時間が無くなるので”と前置きをして役人語では無い、一般的な言葉を使った、想定問答集を読み上げればどうでしょうか?
質問としては、
“採択が取り消されるのは、どんな場合ですか?”
“どんな事に注意して書類を提出すれば良いですか?”
“次回の提出は、計画書の清書と考えて良いのでしょうか?”
“次回の提出には、相見積は何枚必要ですか?”
といった内容ならば、解らなかったとは言わないのはないでしょうか?
また“ほとんどの会社にとって関係の無い部分の説明が多過ぎる”というのは説明箇所を吟味する必要があるように思います。
例えば、専門家赦金が関係する採択企業は少ないように思います。
このように、大半の採択企業に関係の無い項目が必要な会社は、後日、各都道府県中央会の各担当者に任せるとかは、出来ないのでしょうか?
他には、採択企業が極端に少ない都道府県があります。
認定支援機関の数よりも採択企業の数の方が少ないような都道府県の場合です。
業界が異なる採択企業が一度に説明を受ける場合があり、例えば、機械屋さんには意味不明の時間が続いてしまう場合があります。
そういった時間が、誤解や不安を招く事になってしまった例があります。
それなら、一見時間が掛るように思われても、個別に担当者が説明する方が、良いように思います。
個別の場合は、関係の無い部分は、飛ばす事ができるはずだし、解り易い言葉で説明も出来るからです。
採択企業の少ない県は、本当なら採択企業からの評判が良いはずですが、案外、そうではないので少し残念に感じます。
ここまで、どうも、お役人さん向けの内容になってしまっているようで申し訳ありません。
間接的に、採択企業の皆さんには“いじわる説明会”がどのようなものかを、知って頂ければよろしいかと思います。
但し、
上記は、2015年までの説明会の話です。
2016年以降は、優れた官僚の皆さんが、もっと良い、解り易い、辞退社の出ない、説明会にしてくれている事を切に望みます。
■『交付申請書』は、結局は計画書の清書■
ものづくり補助金に、最初に応募する時に作成する中心書類は『計画書』です。
それが採択された後、説明会に行って、少しビビらされた後、約1ケ月の間に作成するのか『交付申請書』です。
これを、下記のように★誤解する★採択企業の方がおられます。
中小零細採択企業の半数の方が、説明会で上記の勘違いをしています。
しかし、これらは違います。
1.新規に計画書とは異なる別の内容で書き直さねばならない。
ほとんど前の計画書のコピーでOKです。
都道府県中央会の担当者の指示に従って、加筆する必要のある部分には加筆しますが、新規に試作開発内容を考えさせられるような事はありません。
採択された訳ですから、その内容が変わってはいけないのです。
“解りにくいので、ここの部分を数行にまとめて、目立つように書き込んで下さい”
とか
“ここの文章量が少ないので、少しボリュームアップできませんか?”
といった内容ばかりのはずです。
但し、当初はザックリとしか書いていなかった、
最終ページにある開発予算のページ(普通は、計画書ではザックリとしか書けない)
を、正確な金額を使って修正する必要はあります。
都道府県によっては、計画書提出段階から相見積を添付するようになっている県もあるので
そのような場合は、“計画書のまま”という場合もあるやもしれません。
なので、『交付申請書』の新規作成では無く、『計画書』の清書という表現が、筆者は解り易いと思っています。
2.また、審査があって、落選する可能性がある。
説明会でお役人さんに脅されると、そのように思ってしまうのかも知れませんが、
採択されたのですから競争は既に終わっています。
この時点で、もしも中央会に受け取ってもらえないとすれば、締め切り日に間に合わなかった場合くらいしか考えられません。
確かに失効する場合がありますが、それはノルマが達成されていない場合だけです。
但し、この場合の、締め切り日は、耳を揃えて書類が整備されている事を意味します。
例えば、会社の『全部証明書』の期限切れに気付かず、“揃っていませんね”と言われて、全部が水の泡になってしまうという事だって考えられます。
そういった事を考慮し、悲劇のシナリオにならないようにする必要があります。
これを避けるための方法は、締め切り日の2週間前が、実際の締め切り日だと考えて行動する事がベストでしょう。す。
3.前回のは仮採択で今回のが本採択
採択企業にとっては、計画書よりも『交付申請書』を作成する方が大変だと感じる場合があります。
それは計画書を自分達で書いていない事が多いからです。
計画書作成を、業者に任せっきりにして、内容も良く解っていない状態で、『交付申請書』を中央会に役員や社長レベルの方が持って行くと、中央会のお役人に対して計画書の内容とは違った応対をしてしまいがちです。
間違った答えをしてしまうと、間違いに即した書類の書換えや追記を要求されてしまいます。
結果的に、『交付申請書』の内容が、『計画書』の内容とは本質的に異なった内容になってしまう事もあります。
そんな、採択企業にとって、『交付申請書』の作成は、『計画書』よりも大変な作業になってしまい、採択企業の方に、後で聞くと“『交付申請書』が本当の採択だった”等と言う発言を聞く事も多いのです。
■『交付申請書』を中央会に持って行く時■
ここで、大事な事は、
『交付申請書』を中央会に役員や社長レベルの方が持って行く時に、
しっかりと内容を把握しておくことです。
また、ニュアンスの違う発言をしただけで、えらく手間を掛けさせられてしまう場合もあります。
こんな例が、あります。
< 中央会 >今回の計画内容では、どんな試作開発を行うのですか?
<採択企業>ここに書いてある実験を行います。
< 中央会 >実験を行うだけならば、試作開発では無いと言う事ですか?
<採択企業>実際にやるのは、実験だけだと聞いています。
(実験以上の事をやらされるようになってしまっては困ると考えての発言)
< 中央会 >試作品が無いと、試作開発した事にはなりませんのでそれに合わせて、全て書き直して下さい。
もしも、計画書に“実験を行うだけ”と書いてあるとしたら、今や、そんな低次元の計画書が採択されるはずがありません。
上記の、会話では、採択企業の方が、ものづくり補助金がどういったものであるかという、本質の把握が出来ていない面があります。
計画書をしっかり読んで把握すると、実験を行って試行錯誤を繰り返し、何かが出来上がる(機能アップする)という事が解るはずです。
また、試作開発と実験は違うものであり、実験は試作開発の一部であるという事が把握出来ていないという点が上記の会話では、非常に残念です。
中央会の方が優秀で、計画書だけで内容が把握できる方であれば、“実際に、おやりになるのは実験でしょうが、その実験によって××が機能UPなど、するのではありませんか?”
などと、誘導してくれる場合もあるようですが、担当者の方に理解力や知識が無い場合には、採択企業自ら、深みに嵌ってゆくケースもあるようです。
この時の想定問答集を作りたいくらいですが、残念ながら、情報不足で、そこまでには至りません。
ここで申し上げられる事は、
“少なくとも、国民の血税から、
1000万円以下の金を貰えるという補助金なのですから
しっかりとした試作開発を行うという建前に即した発言をして下さい。”
という事だけです。
試作開発内容は、既に採択されているのですから、その内容に自信を持って応対きないのであれば、計画書作成者に、十分に内容のレクチャーを受けておかれるべきでしょう。
■(余談)計画書は誰が書いているのか■
採択企業の規模が小さければ小さいほど、ほとんどの場合は、ゴーストライターが存在します。
お役人の立場からすれば、公にそのような事を言われては困るのかも知れませんが、現段階の計画書の作成手法は、プロの弁理士のような方でも採択は困難なくらい難しくなっています。
2014年までは、そういった弁理士の先生方の話を聞きに行くと、“はっきり言って、うちはこれまで100%採択されています”
などという言葉を、あちらこちらで伺いました。しかし、2015年は、採択ハードルが、もの凄く高くなってしまってそういった先生方でも、多くは採択されなかったようです。
お役人は“レベルが上がって来たので。。”とこれも、あちらこちらで発言されているようですが、それは、レベルが上がって来たのでは無く、中小零細が、自力で書いた計画書は、全て未採択で、上手く書ける、ゴーストライターが増えて来たというだけの事です。
しかし、ゴーストライターの中でも、淘汰が進んでいて、2015年の採択実績のあるゴーストライターは、もの凄く少なくなっており、中小零細企業が、次回以降の、ものづくり補助金に応募しようとした時、優秀なゴーストライターを見つける事ができるかどうかだけが、採択されるかどうかの明暗を分けている、と言っても過言ではありません。
自力で計画書を作って採択されている中小零細企業は、無くはありませんが、今や、数える程しか無いようです。
上記のような実状である事は、多くの中央会のご担当者の皆さんは、気が付いておられるはずです。
採択企業に対して、過度の追記を求めた場合は、結局は、ゴーストライターが、その仕事を引き受ける事に過ぎませんが、採択後は、ゴーストライターが居ないという採択企業が多いという実状があります。
まぁ、お役人さんの中には“そんなの関係ねぇ~”という方も多いのかも知れません。
■経費明細表について■
経費明細表は、下記のように項目が分かれています。
機械装置費(単価50万円以上)------A
機械装置費(単価50万円未満)------A
原材料費----------------------------B
直接人件費--------------------------B
技術導入費--------------------------C
外注加工費--------------------------B
委託費-----------------------------C
知的財産権等関連経費----------------C
運搬費------------------------------C
専門家経費--------------------------C
雑役務費----------------------------C
クラウド利用費----------------------C
まずCは、ほとんどの採択企業が使用しないであろう項目です。
例えば、説明会の時に、これらの項目について、
“こんな書類に書いて下さい”とか
“こんな勘違いはしないで下さい”とかの説明を受けますが、ほとんどの採択企業にとって関係はありません。
(うちは、これらも使うという場合は、自力で内容を把握して下さい。筆者も、把握していません。)
なので、今回はCに関する説明は行いません。
問題は、AとBです。
実際に、これらは計画を進めてゆく上で、普通は発生する費用です。
例えば、バリ取り機+α(他の加工機 例;溶接機)を買って、新しい自社商品を試作開発するという場合。
新しい自社商品を試作開発するのだけれど、既存設備にバリ取り機を加えないと試作が不可能だという典型的なケースを考えます。
この場合、試作品の部品の多くは板金製品なので、定尺材のSPCCなどが使用されますので原材料費が発生します。
また、社内で人間がこの試作に携わります。つまり、設計や加工を行いますので何カ月分もの直接人件費も発生します。
さらに、一部の部品は、外注に加工を頼む事になるでしょう。
例えば、めっきとか塗装とかが多いはず。
実験データを産業試験所などに計測したもらう場合もあるはず。
そういった費用が外注加工費となります。
そして、勿論、バリ取り機+αを購入するわけですから機械装置費を計上します。
これが、本来の経費明細表ですが、ここで、大きく仕事を減らすテクニックが存在します。
上にBと書いてある項目は、多くの企業が抹消します。(=金額を0にします。)
その理由は、
1.書類作成が大変だから
2.バリ取り機+αだけでも1500万円を超えるから
というものです。
機械装置費だけで、1500万円を超えている場合は、それ以外の費用は、発生するとは言うものの
採択企業側が負担し、計上はせず、書類も書かずに済ませる事が出来ます。
この場合、補助金として国から貰える額も満額の1000万円となります。
機械装置費だけで、1500万円を超えている場合は、この方法がお勧めです。
この方法は、お役人もチェックすべき書類の量が凄く減るので、“出来れば、機械装置費だけにして欲しい”と思っているはずです。
■経費明細表を単純なものに出来ない場合■
ところが、中小零細企業にも事情というものがあって、そうはいかない場合も多々あります。
つまり、機械装置費が、1500万円未満の場合も多く、費用総額の2/3は助成されるけど、1/3は負担せねばならないという点を考えると、直接人件費あたりを計上しておきたくなるわけです。
上手く計上出来れば、会社の負担分を実質的に抑える事が出来ますし、そもそも、直接人件費は発生して当然の費用でもあります。
この時、誰でも同時に考えるのが、原材料費と外注加工費の計上です。
現実的には、外注加工費は、明確な内容が提示出来て、見積と相見積が取り易い内容である場合は、計上し易い可能性があります。
これに対して、原材料費は、書類作成が複雑で、その割には計上額が少なくなる傾向にあります。
原材料費は、その点では、3つの項目(原材料費、直接人件費、外注加工費)の中で一番効率が悪いのです。
直接人件費は、日報か週報を作成せねばならなくなりますが、(都道府県によって差が激しい)同じような内容が続く点ので、作成枚数が多くても、何とかなる場合が多いようです。
但し、1時間当たりの時給を、過去の給与明細から割り出すという作業が、『交付申請書』提出時に必要である事。
社長や役員の行った仕事は、計上できない事があります。
零細企業では、働いている全員が役員という事もあり、そんな場合は、最初から直接人件費の計上は不可能です。
日報か週報の作成枚数は、1時間当たりの人件費を多くもらえるのであれば、少なくて済みます。
このような事を、時給単価から逆算して決めるというのは、お役人ライクには、間違った考え方かも知れませんが、それを行うとした場合、必要な時給単価の計算結果は(一定の計算式が提示される)極めて小さな額となります。
この額は、給料によって変化しますが、普通は、時給2000円くらいです。
なので、日報は1枚当たり、概ね16000円の価値という事になり、その内で、補助金がもらえるのは、2/3の10666円という事になります。
補助金を100万円上乗せするためには、日報100枚が必要となります。
都道府県によって、計上方法(書類)が異なる場合があるようですのでご注意下さい。
なお、経費明細として計上出来ない内容もあります。
よく勘違いし易いのは、
1.建物側の電気工事費や基礎工事費
2.パソコンやプリンターなど、汎用性の高い装置
(機械の一部として組み込まれている場合は除く)
などです。これらは計上出来ませんので、ご注意下さい。
■『交付申請書』がOKになった後■
『交付申請書』を提出してから、実行許可が下りるまで長い場合は4週間くらい掛る場合もあるのだそうです。
これは、都道府県によって大きな差があるようで速い県は2週間という場合もあります。
実行許可が下りると、直ぐに機械を発注する事になりますが、多くの採択企業の場合、その前に銀行等と話を付けなければなりません。
中央会からは、書類を全部残す事と、写真を撮っておく事を注意されるはずです。
また、中央会から査察と称して、各社に説明に来てくれる場合もあります。
残すべき書類は、
見積書、相見積書、注文書、注文受書、納品書、請求書、振込証明(預金通帳のコピー)
といったところです。
その後、機械が入ってきたら、『交付申請書』に記載されているであろう、スケジュールに従って、試作開発を進める事になります。
しかし、この時、写真等を撮る事を忘れないよう注意が必要です。
■気になる実績報告書の作文方法■
書類を揃えたりする事は、何処の企業であっても毎年決算は行っているので問題無く実行する事が出来るはずです。
しかし、ものづくり補助金を終えるためには、実績報告書類が必要で、どんな開発をして、どんなものが出来上がったかを作文・作表等せねばなりません。
最初から計画書の作成を、ゴーストライター任せにしている会社は、この作文が出来ないという場合が考えられます。
2014年までは、この作文は、2~3ページ程度で済んでいた場合も多く、筆者の知る限りでは、僅か1ページだけという会社もありました。
しかし、2015年の場合、このフェーズまで進んでいる会社は、現時点(2015年12月)では存在しないので、どの程度の作文を要求されるのかは、はっきりしません。
お役人さんは“レベルが上がって来ている”と思っているようなので、ここで、最悪は、10ページレベルの作文が要求される可能性があるかも知れません。
そうなると、ゴーストライター任せにしている会社は、とても困るでしょう。
殆どの、ゴーストライターは、採択させるという使命が終わって、採択企業から離れてしまっているからです。
これまで、1~2ページの作文であれば、サービスで行って来た弁理士等も、まとまった量となると、それなりの費用を要求する事になります。
しかし、採択企業側に、その予算があるかどうかは解りません。
また、その時期が翌年の、ものづくり補助金計画書作成時期と同じ時期になるという点も、気になるところです。
前に、『交付申請書』を中央会に持って行く時 のところでも述べた内容ですが、採択企業の方が、作文が不得意である事と、内容をよく把握していない事は違います。中小零細企業が、作文が不得意なので、ゴーストライターに頼むというのは、むしろ当たり前だと思いますが、内容を把握していないというのは違います。
実績報告書を、頼まれるゴーストライターは、採択企業の方に“どんな風に書けば良いですか?”と当然、聞いて来ます。
そこで、
計画書はしっかりしたものがあるので説明はあまりいらないはずですが、
“計画書に従って、こんな実験を行ったんだけど”
“こんな実験結果のグラフが得られまして”
“この結果は、こんな影響因子によって、このようになるんだと思います”
“その時にデジカメで撮った画像がこれで”
“製作開発された製品の画像がこれです。”
“製作開発された製品は、こんな、これまでに無い機能を持っています。”
等と実績報告書が書けるだけの要素を揃えてもらう必要があります。
書けるだけ書いたとして、もしも、必要に“もっと、もっと内容を書いてくれ”とお役人さんに言われたら、
“他社に知られたくない内容が沢山あるので、あまり出したくはありません。”
と言えば、お役人は引き下がってくれるはずです。
■ものづくり補助金の経済効果と現状■
筆者の周囲で得られる情報は、主に、いわゆる板金屋さんからの情報ですが、ものづくり補助金は、筆者の周辺では、確かに大きな経済効果を及ぼしていると思われます。
良いのか悪いのか解りませんが、設備を扱っている会社は、『補助金成り金』などという言葉も聞こえてくるようになりました。
もし、ものづくり補助金が無ければ、板金屋の淘汰は、ここ数年の間に加速的に進んでいたはずです。
逆に言えば、現段階で、ものづくり補助金が無くなってしまうと、淘汰が加速的に進んでしまうという事も言えるわけです。
なので“ものづくり補助金を今後も続けて欲しい”というのは、ものづくり企業の全社が口を揃えて言う台詞です。
但し、ものづくり補助金の書類作成が、レベルアップしたというのは、多くの場合、書類作成が上図な弁理士を探すのが上図になっただけの事です。
おまけに弁理士を探しているのは、機械を売りたい設備産業の営業マンであって、採択企業では無いという場合が多いのです。
お役人の方には、美しい書類を要求したがります。
それは、お立場上必要なことかも知れませんが、その事が、採択企業を苦しめるだけに終わってしまっている場合が多く見受けられます。
■これで良いのか?日本の板金屋■
日本のものづくりは、昨今、保護産業となってしまい、随分と情けない状況になってしまったものだと思います。
その原因に関しては、色々と言われていますが、最大の要因は、間違いなくものづくりに携わる人達が、コンピュータに弱いという事です。
ものづくりに携わる人達自信は、この事はあまり口にしません。
それは、あまりにもコンピュータに弱いので、自分達が本当に困っている原因すら見えていないからです。
ものづくり補助金の書類作成において、一番問題となるのがコンピュータ力です。
特に、こういった書類作成の時に、Wordを使い慣れていれば、もの凄く楽です。
これが出来ない採択企業は、もの凄く大きな心理的ストレスを感じています。
はっきり申し上げて、例え数人の零細企業であっても、今時、Wordごときを使いこなせるような社員が1人もいないというのは、採択企業側の方に非があります。
これは、ものづくり補助金に限った事ではありません。
多くの板金屋さんでは、CAMやNCが使いこなせるかどうかが、一番重要な事であり、使いこなせた場合は、試作の仕事など一般的には難しい仕事を引き受ける事が出来るので、顧客から頼りにされる企業となります。勿論、新工法や新設計も生まれてきますし、工場も格好の良い、美しい工場となって行きます。
新しい工作機械を導入しても、直ぐに使いこなす事ができるだけでなく、機械性能の限界を追及する事が可能となります。
しかし、使いこなせない場合は、他社と比較した場合のアドバンテージが少なくなり、
限度を超える価格競争に巻き込まれます。
さらに、取引先がら要求される、各種の技術的な資料の提出も、その都度大きなエネルギーを必要とします。
不具合の発生頻度も、伝票などの情報処理系でのミスが実際の製品不具合よりも遥かに多く発生してしまいます。
結果、設備投資もままならず『働けど働けど』の状態になってしまいます。
つまり、多くの板金屋さんにとって、コンピュータに強いか弱いかが運命の分かれ道です。
コンピュータに弱くても、
CAMやNCを使いこなす以外の方法で生き延びて来た中小零細のものづくり企業も沢山あります。
しかし、社長の特別な技術で、どうにか繋いできたという企業が多過ぎるように思います。
筆者の知っている中小零細の板金屋さんの多くは、昨今、社長自信が年配となって来ており、後継者もおらず、あと僅か5年で日本の板金屋さんは半数以上の大量廃業が発生する事でしょう。
つまり、コンピュータ技術無しでは、もう限界なのです。
ものづくり補助金は、上記のような状況に苦しんでいる中小零細ものづくり企業にとって
上記の様な事に気が付く、最後のチャンスのように思います。
補助金は、私達の血税から支払われます。
納税者の1人として、採択企業には、ものづくり補助金として、1000万円もらったというだけで、終わらせて欲しくはありません。





