バリ取りレスキュー隊とは?
たかがバリ取り、されどバリ取りをモットーに、究極の板金製品のバリ取りを考え、 板金工場で働く皆様のバリ取りの悩みを解決するための私達の呼び名です。
バリ取りに関する「不満」や「疑問」はありませんか?
板金加工で発生するバリとは?
多くの板金製品がパンチプレスやレーザー加工機で生産されれば、必ずバリは、ほぼ全ての板金部品に存在します。
パンチプレスは、せん断である以上、せん断面、破断面、そしてバリが発生します。 この鋭いバリは刃物と同様です。製品としてそのまま出荷すれば人を傷つける事になりかねません。昨今のレーザー加工機も、ドロスやバリは一切発生しなくなりましたが、完璧に近い角部は、 “ピン角"と呼ばれ、実は十分に人を傷つける事があります。
せん断加工(パンチング)により小さなバリがある板金部品 |
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パンチング加工されたボンデ鋼板 | パンチング加工されたステンレス | |
レーザー切断加工により極端な角(ピン角)がある板金部品 |
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レーザー加工されたボンデ鋼板 | レーザー加工されたステンレス | |
せん断加工(パンチング)により小さなバリがある板金部品
- パンチング加工されたボンデ鋼板
- パンチング加工されたステンレス
レーザー切断加工により極端な角(ピン角)がある板金部品
- レーザー加工されたボンデ鋼板
- レーザー加工されたステンレス
世間では板金製品のこういった危険性を回避するため、図面指定として「バリなきこと」という文言がどんどん増加しています。 要は、“バリを取ってくれ"という指示なわけですが、製造側としては、許容されるレベルがどの程度のものなか、はっきりとした目安もなく、多くの手間がかかり板金工場の経営者を悩ませています。
どの程度の手間を掛ければよいのかが明確でないという点が悩みの種です。設計者も、寸法でR××などと書いたとしたら、コスト高は免れず、そもそも板金化したメリットも無くなります。
設計者にしてみても、怪我をするクライアントが発生したら、その責任を問われる世の中です。如何にコストをかけずに効率的なバリ取りを行うかが 死活問題となっているのが実情です。
板金部品の面取りのイメージ
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C面取り | 糸面取り | R面取り |
バリ取りの図面指示の例
よくある、バリ取りの図面指示
注意事項
- 指示なき角 R1のこと
- 曲げ逃げ部 作業者一任
- バリ・返り不可
エスカレートしてきたバリ取り指示
注意事項
- 指示なき角はR0.3以下
- 指示なき曲げRはR0.1以下
- 曲げ部スリ跡(メッキ層の剥離)「極小」のこと
- バリ高さ0.05以下、ヒゲバリなきこと
- 切断面サビなきこと
- 外装面にキズ、コスレ跡なきこと
- 指示なき曲げ逃げ寸法は□1.5以下
- WEEE司令、RoHs司令対応のこと(部品完成状態)
- ※ 不明点はDXFデータを参照のこと
これらは実際の板金図面に記入してある仕上げ指定の例です。 一般的には、当初は上段のような指示が多いのですが、時間がたつと段々エスカレートしてきて、 下段のような指示となってゆきます。トラブルが発生するたびに、その対策として記載内容が増えてゆく事になります。
グラインダーや、やすりを使ったバリ取り作業の問題点

最も原始的なバリ取り方法は、やすりによるバリ取りです。 しかし、あまりにも危険性が高い! 相手は刃物のように尖ったバリなのです。板金屋さんであれば、バリで手を切った事は何度もあるはずです。
また、必然的にやすりには、微細な鉄粉(元はバリ)が付着し、 これが風などによって、目にでも入ろうものなら、即病院で眼球の手術です。 それでなくても、作業服だって黒く汚くなってしまいます。 やすり掛けの作業には、勿論力も必要です。
汗ダラダラになりながら、バリ取りを行っても、高級な仕事であるとは誰も言ってくれない。 さぁ、これなら楽だぞ!といって与えられた小型グラインダーだって、 重いし、楽なものではありません。
社長は、“悪いけど、これから毎日、バリ取りをやってくれ"と社員に言うには勇気が必要です。何故なら、何時“辞める"と言われるかわからないからです。バリ取りは『限度を超えた最低の仕事』『救われない仕事』と言っても過言ではないと私達は考えます。
このような、極端な3K仕事の存在は、 日本の板金業界発展の大きな妨げとなっています。私達はバリ取り作業から、作業員の皆さんを解放させて頂きたい!それがバリ取りレスキュー隊の仕事です。
どのような改善方法があるか?
一般的な板金屋さんの場合、多くの板金加工においてバリは発生します。 シャーリング・マシン、パンチング・プレス、レーザー加工機等。これらのバリ取りをハンドグラインダーで行うとして、加工機の速度から 考えれば、全ての製品のバリを取るために必要とする時間は、加工機の稼働時間の2~3倍 といったところでしょう。
これまで、バリ取りの指示の無かった図面に、バリ取り指示が書き込まれた瞬間、 板金屋さんの生産効率は劇的に低下してしまいます。 パンチング・プレスやレーザー加工機械は、高速の自動加工機なわけですが、 要は人の手間をかけずに生産を行うために、莫大な費用をかけて機械を導入しているわけです。 バリ取りを行わなければならなくなれば、それが全部台無し…と言っても過言ではありません。
仮に、バリ取り機が1000万円だったとしても、5年償却で月20万円の計算となります。 これを人件費に換算したとして、一般的な板金屋さんであれば、 バリ取り機が、月に1人分以上の仕事をしてくれればペイすることになります。 一般的なバリ取り機の生産性から考えれば、2~3人分の仕事は楽に行えます。 普通の板金屋さんであれば、ほぼ確実にペイするのがバリ取り機です。
とは言っても、
- どのような形状の板金加工部品があるのか?
- どの程度の量があるのか?
- どのような図面指示になっているのか?
- 工場に空きスペースはあるか?
など、様々な因子を分析せねばなりません。
バリ取りレスキュー隊では、これらのご相談を無料で実施させて頂いております。
どのようなバリ取り機があるのか?
比較表
ローラータイプ | ボールで潰すタイプ | 洗車機ブラシタイプ | |
バリの除去方法 | 2本・3本・4本のローラーで除去する | 鋼球でバリを上下から叩いてつぶす | 車の洗車機のようなブラシで除去する |
バリ除去の特徴 | ワーク表面を削り取る | 表面が削られない | 適応できるワーク形状が一番多い |
メリット | 比較的安価 最も良く見かける古くからあるバリ取り機 | 表面処理鋼板に適する 養生シート(白ビニール)を貼ったまま加工可能 | 成形加工後のワークバリ取り・R面取りが可能 |
デメリット | 表面処理鋼板やSUS鏡面仕上げ材に適さない バリ面に成形加工(バーリング・エンボス・ルーバー等)があるワークには適さない ワーク送り方向(縦方向)のバリは残りやすい(二次バリ) | 叩いたバリが潰しきれずに2次バリになる事がある 上下の圧力調整が必要で反りが発生する危険性あり | 対費用効果では優れているが、比較的高価 |
バリ取り機を選ぶ場合の最大の問題点は、どのようなバリ取り機であっても全てのバリ取りに対応できたりはしないという事です。
現在、日本で入手可能なバリ取り機は、全て一長一短があります。
例えば、20年前からローラータイプのバリ取り機を導入していた板金工場でも常にバリ取りを行っていた部品の形状が若干変化しただけで、バリ取りが出来なくなってしまうことだってあります。
どのようなワークのバリ取りを行うのかが、バリ取り機導入の最も重要なポイントになります。 如何に多彩なワーク形状に対応できるか?という命題に於いては、
洗車機ブラシタイプ > ローラータイプ > ボールでつぶすタイプ
という関係になりますが、ローラータイプにはコスト面のメリット。ボールでつぶすタイプにはそれに向いた形状というものがあります。
バリ取りを加工として考えた場合に重要な事は、堅実バリ取り加工が出来る以外に、バリ取りを行わない部位に、如何にダメージを与えないかという、相反する困難なテーマが存在します。
力任せにバリ取りを行えば、ワーク表面に傷が残ったり、場所によっては削り過ぎたりもしてしまいます。最も完成された理想のバリ取り機とは、どういうものでしょうか?
バリ取り機でバリ取りが困難な製品形状
一般に、製品はテーブルに空いた穴にエアーで吸着されます。そのため、バリ取り機では、下記のようなバリ取りが困難な形状というものが存在します。
1. 製品が極端に小さい製品
吸着穴のピッチよりも小さな製品だとブラシが当たった時に飛ばされてしまいます。 これに対応するための方法として、 複数をセットにして固定する方法や、ミクロジョイントを離さずにバリ取りに掛ける方法があり 普段は解決できます。
2. 立ち上がりが大きい製品
平面に近い形状が理想となります。箱に近い形状の場合、上側のみしかバリ取りができなくなります。多くは、製品が板の状態に近い段階(曲げや溶接の前)にバリ取りを行う事で解決されます。
3. 突起とバリの方向が逆方向の場合
左の上側と下側の図では、どちらのバリ取りが簡単だと思いますか? 上の図は、エンボスに邪魔されてバリ取りが難しいと考えがちですが、最近の洗車機ブラシ型のバリ取り機では、ちゃんとバリ取りが可能です。
これに対して、下側の図の場合、テーブル(コンベアー)への吸着が不安定となり ブラシが当たると製品が飛ばされてしまいます。最もバリ取りが困難なバリ取り機泣かせの形状の例です。
ブラシの回転方向とバリが取れる位置の関係
バリ取り機の生産性は?
勿論、対応できる製品の大きさ、形状、バリの形状、大きさなどによって 大きな影響を受けますが、一般的な小さな板金製品の場合は下記のような考え方で 生産性を考えます。
バリ取り機(AuDebu)ワーク挿入の様子
1. ベルトコンベア(テーブル)の幅とワークの大きさのバランス
通常はベルトコンベアの幅が大きいバリ取り機の方が 大きな製品にも対応が可能で、汎用性が高いことになります。
また、複数の製品を一度にバリ取り加工できるのも大きなベルトコンベアのメリットとなります。一般的なバリ取り機のベルトコンベアの速度は、2mm/分程度で 通常は入れた製品が1分程度で出てきます。
2. 送り速度は、速い方が良い?
生産性を考えれば、ベルトコンベアの送り速度は速いに越した事はありません。
しかし、様々なバリのタイプや形状、丁寧なバリ取りの対応を要求される事も多く、 低速の送りに対応できるかどうかも大きなバリ取り機の選定基準となっています。 現代のバリ取り機は速いだけではダメなのです。