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「PL法とバリ取り」

PL法とバリ取り


板金製品のバリ取りを入念に行うようになった最大の理由は、PL法の制定により、製造物によって誰かが怪我をした時の責任は、設計者か製造者にあるという事が明確になったからです。

製造物責任法 (平成6年7月1日法律第85号)は、製造物の欠陥により損害が生じた場合の製造業者等の損害賠償責任について定めた法規のことをいうが、形式的意義においては、上述の損害賠償責任について規定した日本の法律のことをいう。 1995年7月1日施行。製造物責任という用語に相当する英語の(product liability)から、PL法と呼ばれることがある。

このPL法に添って、板金製品を考えた時、せん断バリ(鉄板などをタレパンなどで切った時に板の裏にできる鋭利な“かえり”)で、お客が指に怪我をした時は、明確に製品の『欠陥』であると判断されてしまいます。 大量の板金製品を作ってバリ取りをしなければ、誰かがバリで怪我をする事は避けられません。 その時の責任は、まず板金製品を設計した会社という事になりますが、設計通りに作られていなかったとしたら、その時は、板金屋さんの責任という事にされてしまいます。

現段階(2018年)では、板金製品の図面の全部に、“バリ無き事”もしくは“R面取りの事”と書いてあるのが当り前の事となりました。

設計者と板金屋さんにとってのPL法


“バリ無き事”もしくは“R面取りの事”と書く事は、設計者にとって“責任逃れのおまじない”のようなものです。 怪我人が発生した時、“私達は、図面に『バリ無き事』と書きました”と言う事ができれば、設計上は、自分達に落ち度は無い事にできるからです。 では、そういった場合、怪我の責任は誰にあるのかと言うとPL法には、図面通り作らなかった板金屋さんの責任となる事が明記されています。 最終顧客の怪我の責任を、部品を作っただけの板金屋さんが負うような事は、PL法以前には、まずありませんでしたが、PL法施行後は、責任を負わされる事となりました。

設計者は、バリ取り作業が困難な事であったとしても、そんな事は無視して、責任逃れのために『バリ無き事』と書きこんでしまう場合が多いはずです。  そんな場合、きちんとバリが取れているかどうかの管理は、二の次となってしまっているケースも多いでしょう。  設計者にしてみれば、まずは自分達の保身が第一です。

バリ取りには、大きな手間が掛かったり、設備投資の必要があります。本当は『バリ無き事』と書き込む前に、設計者は、板金屋さんに対して“バリ取り代は幾らですか?”と聞かねばなりません。  ところが、ほとんどの設計者は、バリ取りは、大変な仕事だとは思っておらず、ついでに一寸やれば良い程度の仕事だと考えています。  そこで、図面には“手抜きはしないでね”と言ったつもりで『バリ無き事』と書き込みます。

板金屋さんでの、その後の展開


多くの板金屋さんは、PL法が無い時代には、特に厳しく言われない限り、多少のバリは残っていてもかまわないと考えておられました。  しかし、ある時に、上記の話をお客や仲間の方から聞いて、“じゃぁバリ取り機でも検討するか”という事になります。

長年、板金屋をやっている経営者や工場管理者の方は、工場における仕事の難易度や苦労については、よくご存じですから“サンダーを使っていては無理だ”という考えには直ぐに至ります。  ですが、もう1枚、壁のようなものがあります。  そういった経営者の方は、昔の事も良く知っておられます。  バリ取り機に関しても、昔のイメージのままで判断してしまいがちです。  そこで出てくるのが、

 〇 バリ取り機は中で火花が出るので湿式でないとダメ
 〇 板の表面が削られるので表面処理鋼板では使えない
 〇 板の表面が削られるので表面に傷が付く
 〇 レーザの酸化被膜は取れない

といった内容です。  現在も、これらを理由として、バリ取り機の導入を先送りにされている会社がありますが、これらは、今では既に解消されている昔のバリ取り機の問題点に過ぎません。  この差が発生した理由は、バリ取り方式がブラシ式になった事によるものです。  オーセンテックなどのバリ取り機メーカーに話を聞いて、浦島太郎状態であった事に気付き、随分と驚かれる経営者の方も多いと聞いています。