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本記事では、手作業でのバリ取りに問題を感じている方に向けて、バリ取り機やバリ取りロボットシステムによるバリ取り機の自動化について解説します。
人が行うバリ取りは時間や人件費がかかったり、品質が一定しないことなどのいくもの課題があります。
人による板金バリ取りのコストダウンをはかるためには、バリ取り機やバリ取りロボットシステムを導入して、バリ取りを自動化することが効果的です。
バリ取り機とは
バリ取り機とは、バリ取りを自動で行ってくれる装置のことです。専用機器もしくはNC装置に設置したツールによって行う方法の2種類があります。しかし、いずれも時間がかかるバリ取りの人手不足を解消するための方法として注目を集めています。
バリ取りは従来なら、技術力のある担当者によって行われることが一般的でした。しかしバリ取り機を導入すれば、加工機や工具により、機械が自動的にバリ取りをしてくれます。
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手作業で行うバリ取りの課題
自動化された機械ではなく、手作業でバリ取りを行う場合、次のような課題があります。
課題
- バリ取りに熟練の技術力が必要であること
- 「きつい」「汚い」「危険」の3Kがそろっていること
- 人手不足
以上の3つがバリ取りの現場で起きている課題となります。まずはこれら手作業でのバリ取りの課題について、詳しく見ていきましょう。
熟練の技術が必要
手作業でのバリ取りの課題としてまずあげられるのが、作業を行うために熟練の技術が必要となることでしょう。バリを除去するのはとても繊細な作業で、製品に傷をつけることなく、バリだけを除去するには高い技術力が必要となります。
品質を一定に保つことも非常に重要で、新しく入社した人材がすぐにできる作業ではありません。
新たな人材を確保できたとしても、品質の高いバリ取りの技術を習得するためには、何年もの歳月が必要となります。
「きつい」「汚い」「危険」の3Kがそろっていること
日常的にサンダー等を利用して行うバリ取りの作業では、工場内に粉じんが飛び散ってしまうため、「汚い」というイメージが付きまといます。
また、金属を削るのですから「危険」な作業であることも事実です。
バリ取りという技術もすぐに習得できるものではなく、一人前になるために長い年月を必要とします。そのため「きつい」というイメージを持たれることも少なくありません。
これら3Kがそろってしまうことも、手作業でバリ取りを行うデメリットになるでしょう。
人手不足
そして現在、バリ取りを担当している人材は高齢化してきています。バリ取りの担当者が、あと数年で退職を迎える人ばかりであるとの企業も少なくありません。
バリ取りに熟練の技術が必要である一方で、若い人材が集まらず、技術の継承が難しいという課題も生まれています。
手作業でバリ取りを行うことができる人材が、年々減少してしまっていることも大きな課題の一つとなっています。
バリ取りを自動化するメリット
ここからは、バリ取り機やロボットの導入により、バリ取りを自動化することのメリットについて解説します。手作業でのバリ取りには課題がありました。しかし、バリ取りを自動化することにより、次のようにさまざまなメリットが得られるはずです。
3K(きつい・汚い・危険)からの解放
まずは現場作業において言われる「3K(きつい・汚い・危険)」から解放されるメリットがあります。
バリ取りはサンダー(ハンド・グラインダー)を用いる作業なので、担当者には常に危険がつきまといます。危険のある作業をきついと思う担当者もいるかもしれません。
しかしバリ取り機等を導入すれば、人が危険な目にさらされることはなくなります。企業側としても労働安全衛生面を充実させられるようになるため、3Kからの解放においてメリットが感じられるはずです。
加工時間の大幅な縮小と人手不足の解消
バリ取りの自動化は、手作業に比べて加工時間を大幅に短縮することができます。
人が行うバリ取り作業は、高度な技術が必要であることからも、非常に時間がかかるものです。しかしバリ取り機等を用いることで自動的に、高速なバリ取りが実現されます。
企業の生産性・作業効率の向上にもつながり、バリ取りの大きな課題の一つである人手不足の解消にも大きく貢献できるでしょう。
人件費の削減
作業のバリ取りのために人材を雇用していた場合、バリ取り機等を導入し自動化すれば、バリ取り作業に従事する人を減らすことができます。従来の担当者に、他の作業をしてもらうことでさらなる生産性向上を目指すことも可能でしょう。
板金加工においてコストダウンをはかりたいと思われているなら、バリ取り機等の導入をおすすめします。人件費を削減できれば、間接的なコストダウンがはかれるはずです。
品質の安定化
最後にご紹介するバリ取り自動化のメリットは、品質の安定化です。人がバリ取りを行う場合、どれほど優れた技術を持っている担当者であっても品質には誤差が生じてしまいます。しかし、バリ取りを自動化することで誤差のないバリ取りが可能です。
とくにバリ取りの担当者が複数いる場合、品質を一貫させることは難しいでしょう。バリ取り機等を導入することには、製品の品質を安定させられるメリットもあります。
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バリ取りを自動化するデメリット
バリ取り機等によりバリ取りを自動化することにはメリットもありますが、一方でデメリットもあります。バリ取り機等を実際に導入する前に、念のためデメリットも確認しておきましょう。
新たな設備が必要な場合もある
バリ取り機等を導入するデメリットとして、新たな設備が必要となる場合があることがあげられます。たとえばラインでバリ取り機等を運用する場合、運用のための周辺機器購入が必要となるかもしれません。
板金加工のコストダウンを狙ってバリ取り機等を導入しても、導入のために大きめの初期費用が必要となることがあります。
メンテナンスが必要
バリ取り機等の設備を導入し、長年にわたり正常に稼働させるためには、定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスを怠ると、不具合や故障が出て生産現場に支障をきたしてしまう可能性もあります。
機械のメンテナンスのためには当然一定のコストも必要となります。バリ取り機等の導入には、設備購入に伴う初期費用に加えて、メンテナンスのためのランニングコストもかかることを知っておいてください。
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バリ取りを自動化させる方法
人手によるバリ取りにはいくつかの課題があります。それではバリ取りを自動化させるためには、どのような方法があるのでしょうか?バリ取り機を含め、3つの方法についてご紹介します。
工作機を利用する
まずは工作機を利用する方法です。マシニングセンタ・複合旋盤などの工作機にカッターやブラシなどを設置する方法です。もし工作機がすでに装備されている工場であれば、高額な初期費用をかけずにバリ取り装置を導入できるでしょう。
工作機に設置できるのは、「バリ取りツール」「カッター&パス」「ブラシ」などです。バリ取りツールは多くの種類が提供されているので、自社に適したツールが見つかるでしょう。工作機が設置されているなら、最も手軽であると言えるバリ取り自動化の方法です。
バリ取り機などの専用機を利用する
バリ取りを自動化する方法として最も一般的と言えるのが、バリ取り機などの専用機を利用する方法です。バリ取り機とはブラシ研磨などによりバリ取りを行う専用の機械のことで、手作業によるバリ取りに比べて大幅に作業が効率化されます。
バリ取りと研磨が同じ工程内で完了すること、手作業では何十分もかかっていた作業を1分程度で終えられることなどが大きな要因です。
品質を一定に保つことや、人手不足を解消することにも大いに貢献できるでしょう。
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ロボットを利用する
バリ取りの自動化を行うには、バリ取りロボットを利用する方法もあります。バリ取り自動化ロボットは人と似た動きをしたり、人と協力したりすることで、生産現場の効率性を向上させるものです。
ロボットのアームは人の腕のようにできており、先端にブラシや工具を装着することにより、人が行う作業に近いバリ取りを行います。バリ取り装置の設置には広い場所が必要となると考えられがちです。しかし最近のロボットは小型化が進んでおり、狭い場所でも設置できます。以上のようなバリ取りロボットを設置するのも方法のひとつです。
バリ取り自動化はバリ取り機の導入で実現可能
今回は、バリ取りの自動化について解説してきました。
バリ取り機やロボットの導入には、一定のコストもかかりますが、板金加工コストがダウンする、品質が安定する、人手不足が解消するなど、たくさんのメリットがあります。
ぜひ自社にとって、バリ取りの自動化が必要なのかどうかを検討してみてください。
バリ取り機の導入ならオーセンテックまでぜひ一度ご相談ください。