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板金加工工場の現場責任者である方に向けて、バリ取りがきつい作業であるとされる理由について解説します。
バリ取りは板金加工において欠かせない工程ですが、現場では作業負担が大きいとされることがあります。実際に作業員を配置している現場では、負担の程度や改善の必要性について判断に迷う場面もあります。また、どのように改善すべきかが明確にわからない場合も考えられます。
そこで今回の記事では、バリ取りがきついと言われる6つの理由と改善策について解説します。
参考にしていただければ、バリ取り作業の体制を今後どのように変えていくべきかおわかりいただけるはずです。
バリ取りとは?
「バリ取り」とは、金属や樹脂を加工する際に生じる突出部を除去する作業を指します。
バリは不規則で鋭利な形状をしており、手で触れると怪我につながることがあります。また、次の加工工程の妨げとなり、加工品質に影響する場合もあります。
製品によっては、バリが残ることで不具合や故障のリスクが高まるケースも見られます。そのためバリが発生する工程の後には、バリ取りが必要とされています。
バリ取りがきついといわれる理由

バリ取りはきつい作業であると言われることがあります。
なぜバリ取りがきついとされるのか、理由について6つの観点から見ていきましょう。
理由①素材の特性
素材の特性によってバリが取りにくくなる場合があります。
硬度や強度が高い素材では、発生したバリも硬くなり、手作業では処理が難しくなる傾向があります。たとえば樹脂より金属のほうが硬さと強度の点で手作業の負担が大きくなります。
素材によっては、手作業でのバリ取りが体力を要することもあります。
理由②バリの種類
バリの種類が豊富であることも理由のひとつです。
バリが生じる原因と種類は、次のようにさまざまです。
【バリの種類】
- 鋳造において型との隙間から生じる小さなバリ
- 刃物で切削する場合に生じるバリ
- 砥石が素材を削る際に生じる複雑なバリ
その他の原因で生じることもあるでしょう。
加工方法によって生じるバリの種類は異なり、バリ取りではバリの種類に応じて対処していなければなりません。
バリの種類が多いことは、バリ取り作業を複雑にします。
理由③要求される品質
バリ取りがきついとされるのは、要求される品質が高いことも理由としてあげられるでしょう。
特に金属製品におけるバリ取りでは、バリの取り残しがあってはならないとされます。
金属には耐久性の高さや精密さが求められるためです。
また硬い素材であるため、バリの取り残しがあったことにより、消費者に怪我を負わせてしまうことも考えられるでしょう。
そのためバリ取りに要求される品質は非常に高く、きつい作業だと言われることが多い所以でもあります。
理由④技術的問題
バリ取りがきついとされるのには、技術的問題もあります。
手作業でバリ取りをする場合、品質が作業員の技術力に左右されることは否定できません。
熟練した作業員であれば精度の高い作業が行えますが、新人作業員の場合、品質に差が生じることがあります。
以上のように技術が必要な作業であるため、一定の品質を確保するための技術習得が難しいことも理由です。
理由⑤安全性
安全面への配慮が欠かせない点も課題として挙げられます。手作業によるバリ取りでは、ベルトサンダーやヤスリなどの工具を使用しますが、これらの工具が原因で怪我が発生するケースがあります。
またバリの除去時には粉塵が発生することがあり、呼吸器への影響が生じる可能性も指摘されています。怪我や健康面へのリスクを考慮すると、安全対策が求められる作業と言えます。
理由⑥人手不足
製造業では近年、人手不足が課題となっている現場も見られます[1]。
特に34歳以下の従業員数の減少が顕著で、高齢就業者も減少傾向にあります[1]。
その結果、一人あたりのバリ取り作業量が増え、負担が大きくなるケースがあります。人手不足が作業負担の増加につながる点も、理由のひとつに含まれます。
バリ取りの方法
負担が大きいとされるバリ取り作業について、一般的に行われている除去方法を解説します。
方法①手作業
手作業によるバリ取りは、広く用いられている方法です。ヤスリやスクレーパー、研磨ベルトなどを使用しながら作業を行います。
熟練した作業員であれば精度の高い仕上がりが期待できますが、作業員によって品質に差が生じることがあります。経験が浅い場合、バリを取り切れないケースもあります。
方法②機械
機械を使ったバリ取りでは、マシニングセンタや複合旋盤を利用する方法があります。
品質を一定に保ちやすいことや、業務効率の向上につながりやすい点が挙げられます。作業時間の見通しを立てやすくなるのも特徴です。
一方で、バリの種類が多い場合は複数のバリ取り機が必要となるケースがあり、導入コストや設置スペースが課題となる場合があります。
方法③自動バリ取り機
手作業の負担が大きい場合、選択肢のひとつとして自動バリ取り機があります。
省スペースで設置しやすく、さまざまな形状に対応できる点が特徴です。新人作業員でも安定した品質につながる場合があり、作業の属人化を抑える効果も期待できます。
導入にはコストがかかりますが、作業効率が改善されれば費用対効果を見込めるケースもあります。自動バリ取り機は効率的な作業体制の構築に役立つ方法といえます。
バリ取りにはどの方法が適している?
きつい作業であるバリ取りに適しているのは、やはり自動バリ取り機でしょう。
先にも解説したとおり、製造業では人手不足感が高まっています[1]。
さらに機械に頼る方法も、コストが多くかかるため現実的ではありません。
以上2つの課題を解決するには、省スペースながら1台でさまざまなバリ取りを行える自動バリ取り機です。
自動バリ取り機は自動車や電子部品、精密機械、航空宇宙部品など、精密さが求められる分野でも広く活用されており精度は保証されていると言えます。
また誰が操作しても高品質のバリ取りができるため、技術力を持つ作業員が不足している向上にも最適です。
容易に高品質のバリ取りを実現したいと考えるのでしたら、自動バリ取り機の導入を検討してください。
自動バリ取り機を選ぶポイント

これから自動バリ取り機の導入を検討する際に、確認しておきたい5つのポイントを紹介します。
ポイント①品質にばらつきがない
まずは品質にばらつきがないことを確認しましょう。
自動バリ取り機では手作業よりも品質が一定化する傾向があります。
しかし製品によっては、品質に違いが出てきてしまうこともあるかもしれません。
事前に品質の安定性を確認し、ばらつきが生じないものを選んでください。
ポイント②操作方法がわかりやすい
操作方法がわかりやすいこともポイントのひとつです。
自動バリ取り機の大きなメリットであることが、「誰が実施しても高品質となる」こと。
つまり新人作業員でも熟練作業員でも、誰でも操作できなければメリットが薄れてしまいます。
そのため操作方法がわかりやすく、誰でも操作ができることが求められるでしょう。
ポイント③既存の設備と連携できる
自動バリ取り機を導入するなら、既存の設備と連携できるかどうかも確認しておきたいところです。
企業によっては自動機械加工工程に自動バリ取り機を組み込んで、一貫ラインを構築しているところもあります。
既存の設備と連携できれば、さらに人の手による作業を減らせ、業務効率化及び人件費削減が叶うかもしれません。
ポイント④メンテナンスしやすい
メンテナンスしやすいこともポイントのひとつでしょう。
決して安価とは言えない自動バリ取り機は、長期的に使用し続けることを前提として導入するはずです。
しかし長期間にわたり使い続けるには、定期的なメンテナンスが必要となります。
メンテナンス性の高い自動バリ取り機であれば、手間なく良い状態を保てるでしょう。
ポイント⑤サポート体制が充実している
サポート体制が充実していることも確認しておきたいところです。
もし自動バリ取り機が故障してしまったら、生産工程が行き詰まってしまいます。
トラブルが起きたときに、スムーズにサポートを受けられると安心感が高まるはずです。
導入の際にはサポートを受けられる時間帯や曜日を確認しておくとともに、連絡手段もチェックしておくともしもの際にも安心できます。
バリ取りがきつい作業であると感じたら自動バリ取り機の検討を
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、バリ取りがなぜきつい作業と言われるかがご理解いただけたと思います。
バリ取りは技術力を要求されるうえに、体力的・健康的なリスクも伴う作業です。
オーセンテックでは、手作業でのきついバリ取り作業を自動化するための機器をご提供しています。
バリ取り作業をより効率的に進めたいと思われているなら、ぜひお気軽にオーセンテックまでご相談ください。
[1]参照:厚生労働省:(PDF)2024年版ものづくり白書
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この記事の著者

オーセンテック株式会社
オーセンテック株式会社では、「お客様の声を「アイデア」に お客様の笑顔を「力」に「ものづくり」に貢献する会社でありたい」という企業理念のもと、製造現場の生産性向上・人手不足・品質の安定化・環境改善を実現させるため、手作業をなくすための機械(バリ取り機や板金洗浄機など)を開発・販売・メンテナンスしております。
オーセンテック編集部では、これまでの数多くのバリ取り機、洗浄機の導入事例・サポート経験を活かして、バリ取りや洗浄といった板金加工現場でなくてはならない工程・作業に関するお役立ち情報を発信しています。

