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お役立ち情報⑤

表面処理鋼板ひょうめんしょりこうはんのバリ取り

板金製品ばんきんせいひんのバリ取りを検討けんとうしておられる、板金業ばんきんぎょう皆様みなさまが、まず心配される事は、表面処理鋼板ひょうめんしょりこうはんのバリ取りを行うと、表面処理部ひょうめんしょりぶ剥離はくりしてしまうという事ではないでしょうか? 多くの方が、表面処理部ひょうめんしょりぶけずれてしまうという事を心配され、これを、バリ取り機を導入どうにゅうしない理由とされている場合もあります。 バリが取れるのだから、表面処理部ひょうめんしょりぶだって取れてしまうはずだ!という御心配ごしんぱい当然とうぜんの事ですが、実際じっさいは、そのような心配はありません。 バリ取りのブラシは、製品せいひんから突出とっしゅつしたエッジ部分(バリ)には引っかかかりますが、表面処理ひょうめんしょりほどこしてある表面ひょうめんには、研磨布けんまふが自由でブラブラした状態じょうたいであるためきわめてやわらかくしか当たらず、表面処理部ひょうめんしょりぶ剥離はくりする事はありません

しかし、これはあくまで理屈りくつ。 理屈倒れりくつだおれおそれだってあります。 私達わたしたちは、実際じっさいにそうなのかは、ためしてみなければ解らないと考えました。 

ろんより証拠しょうこ

客様きゃくさま心配事しんぱいごと払拭ふっしょくするために、オーセンテックでは、下記のようなサンプル実験じっけんを行いました。 バリ取り前とバリ取り後における、めっき鋼板こうはん表面処理品質調査結果ひょうめんしょりひんしつちょうさけっかをご確認下かくにんください。

試験事業者しけんじぎょうしゃ株式会社かぶしきがいしゃ ニッテクリサーチ

1.目的もくてき

めっき鋼板こうはんのFE-SEM/EDX分析ぶんせき実施じっしし、めっきそうあつみ、組成そせい把握はあくする。

2.供試試料きょうししりょう

バリ取り前  ばり取り後 A  ばり取り後 B   (計3検体)けいさんけんたい

3.調査項目ちょうさこうもくおよ調査方法ちょうほうほう

3.1 断面SEM観察だんめんエスイーエムかんさつ

   試料調製しりょうちょうせいかくサンプルを切断せつだんめ込み研磨けんま断面だんめん観察かんさつ
   試験装置しけんそうち :日本電子製にっぽんでんし JSM-7000F
   観察倍率かんさつばいりつ:×10000

3.2 EDX分析ぶんせき

   測定位置そくていち別添写真べっとしゃしんに示すpoint-1,2について測定そくてい実施じっし
   試験装置しけんそうち : TSLせい Genesis4000

4.試験結果しけんけっか

4.1 断面SEM観察だんめんエスイーエムかんさつ

   別添べつてんの「SEM観察撮影かんさつさつえい」を参照さんしょう

4.2 EDX分析ぶんせき

   下記のEDX分析結果及ぶんせきけっかおよ別添べつてんのEDXチャートを参照さんしょう





図1. SEM観察撮影かんさつさつえい バリ取り前 ×10000



図2. SEM観察撮影かんさつさつえい A ×10000



図3. SEM観察撮影かんさつさつえい B ×10000

考察こうさつ図1に示すバリ取り前の表面処理部ひょうめんしょりぶあつさは、後A、Bでも、ほぼ変化がない。



考察こうさつ化学的かがくてき変化が起こっていない事を確認するためのEDX分析ぶんせきでも、変化が無い。



追加実験ついかじっけん塩水噴霧試験えんすいふんむしけん

上記によって、バリ取り後の表面処理鋼板ひょうめんしょりこうはん物理的ぶつりてき状態じょうたいが、バリ取り前の状態じょうたいと、ほぼ同等どうとうであるという事が証明しょうめいされました。 しかし、それでも、実際じっさいに“びが来ない”事を確認するまでは安心できないという御意見ごいけんにもお答えし、さらに、同一どういつ製品せいひんに対し『塩水噴霧試験えんすいふんむしけん』を行いました。 下記にその結果けっか公開こうかいします。

1.目的もくてき

めっき鋼板こうはん塩水噴霧試験えんすいふんむしけん実施じっしし、その性状把握せいじょうはあくする。

2.供試試料きょうししりょう

バリ取り前 バリ取り後(計2検体けいにけんたい

3.調査項目ちょうさこうもく
  及び
  調査方法ちょうさほうほう

3.1 塩水噴霧試験えんすいふんむしけん

試験規格しけんきかく: JIS Z2371 準拠じゅんきょ
試験機しけんき : スガ試験機製しけんきせい 、 CA90L
試料調整しりょうちょうせい試験片しけんへん端面たんめんをシールし試験しけん実施じっしした。
試験条件しけんじょうけん
       ・試験時間しけんじかん- 72時間じかん
       ・雰囲気温度ふんいきおんど- 35 ± 2℃
       ・塩水濃度えんすいのうど- 5 ± 0.5
       ・pH調整ちょうせい- 6.5 ~ 7.2
       ・使用水 しようすい-イオン交換水こうかんすい
       ・噴霧圧力ふんむあつりょく- 0.098 ± 0.01Mpa
評価方法ひょうかほうほう写真撮影しゃしんさつえい- 試験前しけんまえ、24h、36h、48h、60h、72hで写真撮影しゃしんさつえい

4.試験結果しけんけっか

4.1 塩水噴霧試験えんすいふんむしけん

下記の「外観写真撮影がいかんしゃしんさつえい」を参照さんしょう。 塩水噴霧えんすいふんむ48時間じかんで、バリ取り前、バリ取り後ともに評価面ひょうかめんから白錆しろさびの発生が確認された。 赤錆あかさびについては塩水噴霧えんすいふんむ72時間完了時点じかんかんりょうじてんで発生は確認されなかった。



まとめ

表面処理鋼板ひょうめんしょりこうはんのバリ取りを行い、試験片しけんへんを作成、SEM分析ぶんせき塩水噴霧試験えんすいふんむしけん実施じっししました。 SEM分析ぶんせきにおいては、表面処理部分ひょうめんしょりぶぶん欠落けつらくは、ほぼ確認できませんでした。 塩水噴霧試験えんすいふんむしけんにおいては、きわめて過酷かこくな 72hレベルでも、遜色そんしょくみとめられませんでした。 これらの実験じっけんにより、オーセンテックバリ取り機、AuDeBuオーデブは、表面処理鋼板ひょうめんしょりこうはん被膜ひまく影響えいきょうを与える事無ことなく、バリ取りを行えるという事が実証じっしょうされました。

付録ふろく

表面処理鋼板ひょうめんしょりこうはんとは

鉄鋼てっこうは、その機械的性能きかいてきせいのう加工性かこうせい価格かかくなどの点で 構造用材料こうぞうようざいりょう主役しゅやくとなっています。 このうち、表面処理鋼板ひょうめんしょりこうはんを含む薄板うすいた比率ひりつは約36%で、需要量じゅようりょうとしては自動車関連分野じどうしゃかんれんぶんやが50%以上いじょうと多く、そのほかに家電かでん建築資材けんちくしざい事務じむ家庭用品かていようひん住宅、農機具のうきぐなどの業種ぎょうしゅで使用されています。 最近さいきんこれらの業種ぎょうしゅでは、耐食性たいしゅくせい外観がいかんなど、製品せいひん品質向上ひんしつこうじょう目的もくてきとして、表面処理鋼板ひょうめんしょりこうはん採用さいようが進んでいます。 表面処理鋼板ひょうめんしょりこうはん生産量せいさんりょうは、12年間ねんかんで約2.5倍とほかの鋼材こうざいを大きく上回うわまわっており、1987年には、その受注量じゅちゅうりょう薄板全体うすいたぜんたいの約43%にもおよんでいます。 この表面処理鋼板ひょうめんしょりこうはんは、表1のように分類ぶんるいすることができますが、特に亜鉛メッキ鋼板あえんめっきこうはん割合わりあいは約70%と高く、表面処理鋼板ひょうめんしょりこうはん代表だいひょうと言えます。 従って、ここでは亜鉛メッキ鋼板あえんめっきこうはんの主なものを中心ちゅうしんに説明します。 

1.溶融亜鉛メッキ鋼板ようゆうあえんめっきこうはん亜鉛鉄板あえんてっぱんを含む)

この鋼板こうはん亜鉛目付量あえんめつけりょうは、JIS規格きかくに定められている ように、薄口付量うすくちつけりょうから厚口付量あつくちつけりょうまで広範囲こうはんいです。 一般いっぱん に“亜鉛鉄板あえんてっぱん”としょうしているものもこの中に入ります。このしゅ鋼板こうはんは、亜鉛目付量あえんめつけりょうに応じてすぐれた耐食性たいしゅくせいゆうしていますが、亜鉛あえんさび白錆しろさび)を防止ぼうしするために、クロムさんによって耐食性たいしゅくせいゆうする皮膜ひまく形成けいせいさせる(クロメート処理しょり)場合があります。 また、溶接性ようせつせい冷延鋼板れいえんこうはんなどにくらべておとるため、溶接条件ようせつじょうけん目付量めつけりょう選択せんたくする必要があります。 加工性かこうせいについても、加工度かこうどに応じた目付量めつけりょう潤滑剤じゅんかつざい選定せんていしなければいけません塗装性とそうせいについては、リン酸塩処理さんえんしょり(ボンデライジング)をほどこし、塗膜とまく密着性みっちゃくせいおよび塗装とそう耐食性たいしゅくせいを高めることが可能です。  溶融亜鉛ようゆうあえんメッキ鋼板こうはんは、これらの特性とくせいにより、建材けんざいあるいは自動車や電気器具でんききぐ内板うちいたなどに使用されています。

2.合金化溶融亜鉛メッキ鋼板 ごうきんかようゆうあえんめっきこうはん

この鋼板こうはんは、溶融ようゆうメッキ後、メッキそう加熱かねつして表面ひょうめんまで鉄を拡散かくさんさせたもので、Zn-Feメッキそうは、塗装性とそうせいおよび溶接性ようせつせいすぐれています。 また、無塗装むとそうで使用されることがなく、塗装とそうとの組合せによってすぐれた耐食性たいしゅくせい発揮はっきします。 ただし、メッキそうがもろいため、加工性かこうせい冷延鋼板れいえんこうはんなどにくらべてややおとります。 用途ようととしては、自動車の内外板がいはんおよび電気器具でんききぐ外板がいはんがあり、近年著きんねんいちじるしい需要じゅようびを示しています。

3.電気亜鉛メッキ鋼板でんきあえんめっきこうはん

この鋼板こうはんは、溶融亜鉛メッキ鋼板ようゆうあえんめっきこうはんくらべて ①原板げんばんである熱冷延鋼板れいえんこうはん材質特性ざいしつとくせい維持いじできる ②目付量めつけりょう均一きんいつ表面ひょうめん平滑へいかつである ③片面かためんメッキが容易よういである ④Zn-Fe,Zn-Niなどの複合ふくごうメッキが可能である などの特長とくちょうゆうしています。 これらの特長とくちょうを生かし、自動車や電気器具でんききぐ内外板ないがいはんなどに使用されています。

4.その他:アルミメッキ鋼板こうはん

この鋼板こうはん最大さいだい特長とくちょうすぐれた耐熱性たいねつせいです。 アルミメッキ鋼板こうはんは670℃近くまで酸化さんかせず、1000℃くらいでも耐熱性たいねつせいが得られます。 また、耐食性たいしゅくせいあつメッキの場合には亜鉛鉄板あえんてっぱんよりもすぐれ、特に海岸性雰囲気かいがんせいふんいき工場地帯こうぎょうちたい硫化水素りゅうかすいそ亜硫酸ありゅうさんガスなどに対して良好りょうこう特性とくせいを示します。 ただし、メッキそうがもろいために加工性かこうせいわるく、溶接性ようせつせい冷延鋼板れいえんこうはんくらべておとります。 これらの特長とくちょうにより、自動車などの排気系はいきけい焼却炉しょうきゃくろなどに使用されています。

以上いじょうのように、亜鉛メッキ鋼板あえんめっきこうはん代表だいひょうされる表面処理鋼板ひょうめんしょりこうはんは、鋼製製品こうせいせいひん品質向上ひんしつこうじょう観点かんてんから、今後こんごさらに需要じゅようびると言われています。



表面処理鋼板ひょうめんしょりこうはん資料しりょう - 新日鉄住金 しんにってつすみきんhttp://www.nssmc.com/product/catalog_download/pdf/U008.pdf