お役立ち情報

製造コストを削減するための5つの方法&実践の手順・注意点について

板金加工製造場でコストダウンを検討している方に向けて、製造コスト削減の方法を解説します。
製造業におけるコスト削減には、原価や経費を正確に把握・管理し、工数削減なども考慮することが欠かせません。
「どこからどのように進めていくべきか」と悩む方も多いでしょう。
そこで本記事では、製造コスト削減のための5つの方法と手順を紹介します。あわせて実践時の注意点も解説しますので、取り組みの参考にしてください。

製造コストを削減する目的

製造コストを削減する目的は、利益を高めることにあります。
製造業における利益は売上から製造コストを差し引いて算出されます。
つまり製造コストを抑えるほど利益率が上がるため、コスト削減は企業経営において重要な課題となります。

製造業で発生するコストとは

それでは製造業で発生するコストについて見ていきましょう。
製造業で発生するコストは大きく次の2つに分けられます。

①固定費

固定費とは、定期的に必ず発生する費用を指します。
たとえば次のようなコストが固定費となります。

【固定費の一例】

  • 従業員への給与・手当・交通費
  • 機械の減価償却費
  • 保険料
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 研究開発費

上記のようなコストは定期的に必ず発生します。
発生する周期は毎月や半年ごとなど異なりますが、一定の間隔で継続的に発生する費用が固定費です。

②変動費

変動費とは、売上や製造量に応じて増減する費用です。
次のような費用が変動費だと考えてください。

【変動費の一例】

  • 材料費
  • 部品費
  • 外注費
  • 燃料費

ご紹介したような費用は、製造量に応じて変動します。
たとえば受注が少なければ材料費や燃料費は減少し、受注が増えれば比例して増加します。このように固定されておらず、
業績によって変動する費用
を変動費と呼びます。

製造業で削減しやすいコスト

削減しやすいのは、製造に直接関係しない固定費です。
たとえば次のようなものが代表的でしょう。

【削減しやすいコスト】

  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 消耗品費
  • 福利厚生費

水道光熱費や通信費、消耗品費は特に無駄を見つけやすいため、見直しが有効です。
例として、照明を必要な場所だけにする、通信プランを再検討する、ペーパーレス化で用紙購入費を減らすといった取り組みがあります。

福利厚生費は削りすぎると従業員のモチベーション低下を招くため注意が必要です。ただし、重要性が低い支出であれば削減を検討できます。

製造コストの削減をはかりたいと考えられているなら、まずはご紹介した4つのポイントから取り組みを始めてみてください。

製造業で削減しづらいコスト

一方で、製造や経営に直結する費用は削減が難しい傾向にあります。

【削減しづらいコスト】

  • 工場の賃料
  • 原材料の仕入れ費用
  • 研究開発費用
  • 従業員の給与や賞与
  • 税金

原材料や研究開発費は製品の品質を左右するため、むやみに削減すべきではありません。
従業員の給与や賞与も同様で、削減するとモチベーションの低下を招きます。
また、工場の賃料は交渉によって関係性が悪化する可能性があり、移転には大きな費用が伴うため現実的ではありません。
税金についても削減は困難であり、優先的に取り組むべき対象とは言えません。

製造コストを削減する方法

製造業のコストには、削減しやすいものと削減しづらいものがあると解説いたしました。
それでは製造コストを効率的に削減するには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。
削減可能なコストを効率的に減らすための具体的な方法を5つ紹介します。

方法①電気の使用量を削減する

まずは電気の使用量を削減することから始めましょう。
具体的には「LED照明への切り替え」「照明の間引き」が効果的です。

もし現在、蛍光灯や電球を使っているならLED照明への変更によって電気料金を抑えられるようになります。
電球からLEDに変更すると、電球からLEDに変更すると、電気料金は約85%削減できると環境省が報告しています。

出典:デコ活:(PDF)COOL CHOICE

照明を間引けば、さらなる電力使用量削減効果が期待できるでしょう。

製造コストを削減するなら、水道光熱費が最も削減しやすい項目であると解説しました。
電気の使用量を見直すことによって、固定費が抑えられ、経常的なコスト削減が叶うはずです。

方法②水道の使用量を削減する

水道の使用量を削減することも効果的です。
水道光熱費の中で、電力に続いて多く使用されがちなのが水ではないでしょうか。
たとえば「節水弁を使用する」「自家水道システムを導入する」などの方法によって、水道の使用量が削減できるかもしれません。

節水弁とは蛇口のところに取り付ける弁のことで、手軽に取り組めて節水効果が高いことが魅力です。
井戸水や工業排水を活用する自家水道システムとともに取り入れれば、さらに水道料金を抑えられるでしょう。

水道の使用量を減らすことは、製造コスト削減だけでなく環境保全にもつながります
企業イメージの向上にもつながるため、中長期的な経営メリットが期待できます。

方法③通信費を削減する

製造コスト削減のためには、通信費も見直したいところです。
企業内では電話やインターネット、FAXなど、さまざまな通信契約がなされているでしょう。
もしかするとプランを見直すことによって、通信費を削減できるかもしれません。

通信費は毎月発生する固定費です。
少額の削減でも、長期的には大きなコスト削減効果につながります。
インターネットや電話のプランを見直してみてください。
一括で法人契約にしたり、通信キャリアを統一したりすることによってコスト削減につながる可能性もあります。

方法④備品・消耗品費を削減する

備品や消耗品費の削減に努めることも製造コスト削減につながるポイントのひとつです。
無駄に使用されている備品や消耗品がないか、使わずに済む方法はないか考えてみてください。

たとえば紙媒体の書類を使っている企業であれば、ペーパーレス化を進めることによってコピー用紙の購入費用を削減できるでしょう。
もし従業員によって備品が持ち出されるような環境であれば、管理体制を改善することによって備品・消耗品費を削減できるかもしれません。

備品・消耗品費は、削減しやすい製造コストの代表例です。
今一度、社内での管理方法を見直してみてはいかがでしょうか。

方法⑤人件費を削減する

最後に、人件費の削減も考えてみましょう。
従業員の賃金を減らすのではなく、「無駄な作業はないか?」「アウトソーシングで代用できないか?」との視点から考えてみてください。

無駄な作業によって人件費が発生しているのであれば、無駄を削減することによりコストダウンにつながるでしょう。
残業が少なくなれば、従業員への負担も軽減されて一石二鳥です。
もし作業を削減できないようであれば、費用対効果を比較したうえでアウトソーシングの活用を検討することもひとつの方法でしょう。

人件費は毎月必ず支払わなければならないコストです。
製造コスト削減を目指すのであれば、無駄な人件費が発生していないか確認することも必要となります。

製造コストを削減する際の手順

それでは製造コストを削減する際の手順について見ていきましょう。
ご紹介するとおりに行っていけば、効率的にコスト削減が叶うはずです。

手順①製造コストの分析を行う

最初にすべきことは、製造コストの分析を行うことです。
現在、どの部分にどの程度のコストが発生しているのかを確認します。
原価計算を行ったうえで、どの部分にどのくらいのコストがかかっているのか割り出していきます。

分析した結果は、詳細であればあるほどコスト削減がしやすくなります。
たとえば人件費にコストをかけすぎていた場合、人件費のうち、どの部分を減らすべきか考えてみてください。
分析は製造コスト削減の第一歩ですが、細分化するほど効率的に削減できるようになります。

手順②削減できる製造コストを洗い出し、削減策を検討する

分析をしたら、削減できる製造コストを洗い出して、具体的な対策を練りましょう。
まずは削減するためのプランを立てて、どの程度を目標にするのかを考えてください。
もし製造コスト削減のために一時的なコストが必要となるとしたら、投資分を回収するまでにどの程度の期間を要するのかも検討しておきましょう。

プランを立てたら実際の削減方法を検討します。
照明をLEDに変更する、システムを導入して業務負担を減らし人件費を削減するなど
削減できると考えられる製造コストに対して、どのような方法でどのくらい削減するのかを明確にしてください。

手順③削減策を実施する

製造コスト削減案が決定したら、いよいよ削減策を実施する段階です。
従業員にコスト削減の意思と対策法を共有しましょう。
同じ認識を共有できれば、コスト削減が進みやすくなるはずです。

また製造コスト削減のためにツールやシステムを導入する場合は、使い方の研修会を開催することも大切。
全従業員が同じ目標に向かって進めるようにしたうえで削減策を実施してください。

手順④結果を振り返り、改善を繰り返す

削減策をある程度実施したら、結果を振り返り改善を繰り返していきます。

製造コスト削減策の効果が現れているかは、結果を振り返ることでしかわかりません。
一定期間内にどのくらいのコストを削減できたか、1か月単位、3か月単位などで定期的に分析しましょう。

もし想定より効果が現れていないようであれば、改善をはかる必要があります。
つまずいたポイント、成功したポイント、改善すべき点を振り返りの中で見つけて、また改善効果を測定してブラッシュアップしていきましょう。

製造コストを削減する際の注意点

最後に、製造コストを削減する際の4つの注意点について解説します。

注意点①必要な経費は残す

まず必要な経費は残すようにすることが大切です。
「製造コストを削減しなければ」との考えが強すぎると、必要な経費まで削ろうとしてしまうことがあります。
しかし必要な経費を削ってしまうと、評判が下がったり取引先との関係に悪影響を及ぼすこともあるでしょう。

たとえば製品の品質を確保するためのコストや、対外的なサービスに関わるコストなどです。
製造コスト削減は無駄な部分を削減することで行われるべきであり、必要な経費は残すことがポイントであると言えます。

注意点②長期的な視点を持って取り組む

コスト削減策は、長期的な視点を持って取り組むようにしましょう。
一時的にコスト削減に成功したとしても、長期的に継続できなかったり、後に経営に支障をきたしたりすることもあるためです。

たとえば採用を控えて人件費削減に成功した場合、すでにいる従業員への業務負担が大きくなるかもしれません。
システム投資を懸念して導入しなかったとして、長期的に見ると、最初に導入していた方がコスト削減効果が高かったと判断できることもあるでしょう。

3年、5年といった長期的な視点を持って取り組むと、継続的な効果を得やすくなります。

注意点③厳しいルールは設けない

厳しいルールを設けないことも注意点のひとつです。
たとえば「電気料金を半分にするために休憩中はエアコンを停止する」などが考えられるでしょう。

高い目標を達成するために厳しいルールが設けられると、強制されているようになり従業員からの賛同を得にくくなります。
製造コスト削減策は、従業員のモチベーションが上がる方法で行うべきです。

無理なく自然に、協力しあいながら目標を達成できるようなルールを設けてください。

注意点④生産性の低下を避ける

製造コスト削減に取り組むときは、生産性が低下しないように細心の注意を払ってください。
必要な経費まで削ることはもちろん、コスト削減のために従業員の手間が増えては業務効率が低下してしまいます。

不必要な経費を削減すること、業務効率を高めることが製造コスト削減のカギです。
製造現場にとっても経営にとっても、生産性が低下しないような策を練ることがポイントと言えるでしょう。

製造コスト削減は正しい方法を押さえて

いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、製造コストの削減方法がご理解いただけたと思います。
コスト削減は売上向上のために必要なことですが、正しいやり方を知ったうえで実践することが重要です。

オーセンテックでは製造業における生産性を高めることを目的とした製品をご提供しております。
生産性アップは人件費削減に欠かせません。
製造コスト削減をはかろうと検討されているなら、ぜひお気軽にオーセンテックまでご相談ください。

この記事の著者

オーセンテック株式会社 編集部

オーセンテック株式会社では、「お客様の声を「アイデア」に お客様の笑顔を「力」に「ものづくり」に貢献する会社でありたい」という企業理念のもと、製造現場の生産性向上・人手不足・品質の安定化・環境改善を実現させるため、手作業をなくすための機械(バリ取り機や板金洗浄機など)を開発・販売・メンテナンスしております。
オーセンテック編集部では、これまでの数多くのバリ取り機、洗浄機の導入事例・サポート経験を活かして、バリ取りや洗浄といった板金加工現場でなくてはならない工程・作業に関するお役立ち情報を発信しています。

CONTACTお問い合わせ