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製造業で生産性向上をはかるには?実践するための具体的な取り組み

板金加工工場を経営している方、責任者の方に向けて、製造業での生産性向上について解説いたします。
製造業で利益を高めるために欠かせないのが「生産性の向上」です。
しかし生産性を高めたいと考えても、どのような取り組みをすべきか悩む方も多いでしょう。
そこで今回の記事では、製造業における生産性向上のための取り組みについて具体的に解説していきます。
参考にしていただくことで、自社の課題や取り組みの方向性を把握できるでしょう。

製造業の生産性に影響を与える要因とは


製造業における生産性向上をはかるには、生産性に影響を与える要因を知ることから始めなければなりません。
それではどのような要因が影響を与えているのか、4つの観点から解説していきます。

要因①人手不足

人手不足であることは、生産性を低下させる大きな要因となります。
単純に考えても、作業を行える人員が少なければ業務がはかどらず、生産性が低くなると考えられるためです。
特に高い技術力を持つ従業員が不足すると、業務の流れが滞りがちになります。
ただし製造業では人手不足に悩んでいる企業が少なくありません。
そのためオートメーション化を進め、少ない人員でも業務に支障が生じないような体制を整えているところも多く見られます。
つまり、生産性低下の主な要因は「人手不足によってオートメーション化が進まないこと」です。

要因②業務の属人化

業務が属人化していることも、生産性に影響を及ぼします。
属人化とは「担当者がいなければ業務が行えなくなること」です。
たとえば、とある工程の作業は担当者がいなければできないなどの問題はありませんか?
業務の属人化が起きると、担当者が不在であったり、離職してしまったりしたときに業務がスムーズに遂行できなくなってしまいます。
離職をするとなるとさらに問題は深刻となり、次に業務を担当できる人物が見つからないことも考えられるでしょう。
属人化が見られる場合は、生産性向上のためにも早急な改善が必要です。

要因③コミュニケーション不足

コミュニケーション不足により、生産性が低下することもあり得ます。
ひとつの製品を完成させるためには、さまざまな従業員がさまざまな工程の業務を行うものです。
製品製造の工程だけでなく、設計や開発の担当者、販売の担当者などとも連携を取りながら業務を進めていかなければなりません。
そこで重要となるのがコミュニケーション。
コミュニケーション不足の状態では、情報が共有されない、無駄な作業や修正が生じるなどのトラブルが起こりがちになります。
多様な役割を担う従業員が関わる製造業では、コミュニケーションが生産性を左右する大きな要素になります。

要因④作業ミスの多発

作業ミスの多発も生産性を低下させる要因です。
ミスが生じると次の工程に進めなくなり、さらに修正・再製造などの無駄な作業が発生することになります。
またミスによる修正を行っている間は、通常業務ができなくなるため自然と生産性が低下。
作業ミスが多発するほど、生産性は下がると考えてください。

製造業の生産性を向上させるためのステップ

それでは製造業において、生産性向上を目指すためのステップについて見ていきましょう。
次の4つのステップに従って改善していけば、生産性に関する問題は解決へと向かうはずです。

①生産性向上の目的を明確にする

最初にすべきことは、生産性向上の目的を明確にすることです。
なぜ生産性を向上させたいと考えたのかを明確にしましょう。
目的を明確にすることで、生産性向上のための取り組みを着実に進められます。
たとえば「利益を◯%増加させるため」「顧客満足度向上のため」「従業員の残業時間削減のため」などが考えられるでしょう。
目的を明確にすると、問題や無駄が浮き彫りになりますし、どのように対策していくべきかわかりやすくなります。
生産性向上を目指す第一歩は、目的を明確にすることです。

②ボトルネックを洗い出す

目的が明確になったら、次にボトルネックを洗い出します。
生産性が低い場合は、業務のどこかに問題や無駄が潜んでいると考えられます。
ひとつ前の項目で設定した目的を達成するためには、どの部分を改善すべきでしょうか?
もしボトルネックが見つからないようであれば、現場の従業員に尋ねてみてください。
製造工程をイチから見直してみるのも良いでしょう。
生産性向上の施策は、問題を一つずつ改善することで成果に結びつきます。
ボトルネックとなっている部分を見つけることは、対策法を練るための第一歩とも言えるでしょう。

③具体的な計画を作成する

ボトルネックを把握したら、生産性向上に向けた具体的な計画を立てましょう。
問題点・課題・無駄をなくすためには、どのような施策が必要であるか計画を作成するステップです。
たとえば従業員の残業時間を減らしたいなら、新たな人員を雇ったり、新しい工程を作って生産工程をスムーズにするなどの方法があるかもしれません。
利益拡大を目的とする場合は、無駄な作業を減らし時間を有効活用する計画が有効です。
製造業における生産性向上計画は、業種や目的、状況によって変わります。
ボトルネックを解消するには根本的にどのような対策が必要であるかを考えましょう

④ツールを選定・導入する

製造業で生産性向上を目指すなら、ツールを導入することがおすすめです。
人の手が必要な工程が多すぎるのであれば、ツールを導入することによって大幅に作業負担を軽減できるようになります。
ボトルネックの解消に適したツールを選定・導入することも、生産性向上には欠かせません。
ツールにはさまざまな種類がありますし、選ぶべきツールはボトルネックによって変わります。
自社の課題を解決するためのツールを探し、導入すれば製造業の生産性向上に大きく貢献してくれることでしょう。

製造業の生産性向上につながる取り組み

製造業における生産性向上に必要なことについて解説してきました。
しかしその他にも生産性向上につながる取り組みは存在します。
製造工程や設備・ツールを改善する方法以外にも、次のような方法で生産性向上を目指せます。

取り組み①5S活動


5S活動は製造業の生産性向上において重要なポイントです。
5Sとは次の5つを徹底する活動のことを指します。
【5S[1]】

  • 整理(Seiri):必要品・不用品を区別して不要なものを処分する
  • 整頓(Seiton):必要なものを適切な場所に片付けて誰でもすぐに取り出せるようにする
  • 清掃(Seisou):掃除を徹底して場所をきれいに保つ
  • 清潔(Seiketsu):整理・整頓・清掃を実施する
  • 躾(Shitsuke):ルールを正しく守る

生産性を高めるには、整理・整頓・清掃の徹底が欠かせません。
業務に必要なものがすぐに見つからず、探さなければならない、どこにあるかわからないなどの状況では、業務が滞ってしまうためです。
5S活動を継続的に実施することで、生産性の向上が期待できます。

取り組み②作業動作の改善

作業動作改善によって生産性を向上できることもあります。
作業を行っている動作に無駄が生じると、生産性が低下するためです。
業務を効率的に進める従業員は、作業動作に無駄がほとんどありません。
どの従業員であっても同じ作業ができるよう、動画や画像を活用して作業手順を共有すると、業務効率の向上につながります。

取り組み③作業工程の改善

作業動作とともに、作業工程の改善も進めていきましょう。
工程の中になくても良いもの、無駄なもの、重複しているものはありませんか?
無駄を省けば、各工程の時間短縮につながり、全体の生産性も向上します。
作業工程の改善は、コストをかけずに行えることも多い対策法です。
全体の作業工程を見直して、無駄が生じていないか確認してみてください。

取り組み④段取りの改善

製造業で生産性向上をはかるには、段取りの改善も必要となるかもしれません。
たとえばデジタル技術を導入して、工程を自動化させられれば段取りよく業務を進められるようになるでしょう。
人手不足の傾向が強い製造業では、さまざまな企業でAIやロボットが活用され始めています。
人の代わりにロボットを活用すれば、業務をよりスムーズに進められる場面も多いはずです。
ロボットやAIを活用すると、人為的ミスが起こらないことも理由のひとつ。
ミスが起きると生産性は低下しますが、ロボットはプログラムに従って動いているため、人のようなミスを起こしません。
ミスによる修正や再製造が減れば、従来の製造方法よりも段取りが改善されるでしょう。
段取りの改善とミスの減少、両面から生産性向上に貢献します。

取り組み⑤IoTの導入

製造業では、IoTの導入によって生産性を高める方法もあります。
IoTとは、あらゆる物をインターネットに接続する技術を指します。
導入により従業員の負担が軽減し、トラブル発生のリスクも大幅に低下します。
なぜなら、設備をインターネットに接続できれば、稼働状況や設備の状態を把握しやすくなるためです。
生産工程ごとの情報を正確に把握できるようになり、新たなボトルネックの発見にもつながります。
IoTを導入して人手を削減できれば、これまで特定業務を担当していた人員を他の工程に再配置できます。
AIやロボットに加えてIoTも導入することで、より大きな生産性向上が期待できます。

取り組み⑥技術者の育成

技術者の育成も、生産性向上に欠かせない取り組みです。
定期的な研修やトレーニングの実施など、技術力を高める機会を継続的に設けることが重要です。
従業員の技術力が向上すれば、業務効率が高まり、生産性も自然に向上します。

取り組み⑦設備・装置・機器の改善

設備や装置、機器の改善は、製造業の生産性向上に欠かせない要素です。
生産性を高めるには、生産効率の向上が欠かせません。
現在の設備よりも効率的に業務を進められるものがあれば、積極的に導入を検討しましょう。
たとえば生産能力の高い設備に切り替えることで、1時間あたりに製造できる製品数が増加します。
また、高性能な機器を導入すれば、製造に必要な人員を減らせる可能性があります。
設備や機器の改善によって、生産性が大幅に向上する可能性があります。
導入から年数が経過している場合は、思い切って新しい設備に更新するのも有効な方法です。

製造業の生産性を向上させるメリット

製造業において生産性向上をはかる方法について解説してきました。
これからご紹介した対策を実践していこうと検討されているなら、生産性を向上させることのメリットも知っておきたいものです。
製造業で生産性向上をはかることのメリットは多く、次のような恩恵を受けられるでしょう。

メリット①コスト削減につながる

生産性を高めると、コスト削減につながることは大きなメリットであると言えます。
ミスが生じると生産性が向上すると解説しましたが、ミスはコスト増大にもつながることであるためです。
たとえば製品を製造するときにミスをして、製品ひとつ分の材料が無駄になれば、その材料費は無駄になってしまいます。
しかし生産性向上のためにロボットやAIを導入すると、人為的ミスがなくなります。
人のミスによって生じる無駄がなくなるため、コスト削減効果を実感できるでしょう。
また同じリソースを使用したとしても、より低コストで大きな成果を上げられるようになります。
ひいては自然と利益が増大していき、企業の拡大にもつながるはずです。

メリット②製品の品質向上につながる

製造業で生産性向上をはかるメリットとして、製品の品質が向上しやすくなることもあげられるでしょう。
生産性を向上させようとすると、ロボットやAIを導入したり、マニュアル化による作業工程の標準化が行われることが多いはずです。
すると業務の属人化も解消され、製品の品質が統一されるようになります。
ロボットやAIであれば、プログラムに従って同じ動きを繰り返します。
作業工程が標準化されれば、従来の担当者と同じ手順・同じ動作で同じ作業ができるようになるはずです。
経験が浅くスキルが未熟な従業員でも、経験豊富な従業員によって製造されたものと似たものを作れるようになります。
結果的に製品全体の品質向上につながるでしょう。

メリット③競争力が強化される

競争力が強化されることもメリットのひとつです。
競合に勝つためには、これまでどおりのリソースで製品の付加価値を高めていくことが重要となります。
生産性が向上されれば、ひとつ前の項目でも解説したように、製品品質が高まり競争力を高められるようになるはずです。
競争力の強化は、海外進出を検討している、もしくはすでに海外に進出している企業にとってはより重要なポイントとなるでしょう。
市場で勝ち残るためには、競争力を高めなければなりません。
製品の品質を高め、安定させることで、市場で生き残れる可能性が高まります。

メリット④労働環境の改善につながる

労働環境の改善につながることもメリットであると言えるでしょう。
ロボットやAI、新たな設備導入によって業務の自動化・効率化が進めば、従業員の業務負担は軽減されます。
仕事がつらいと感じていた従業員がいたとすれば、労働環境の改善によってモチベーションアップも期待できるかもしれません。
労働環境の改善は、製造業における離職率低下にもつながります。
生産性を向上させることには、従業員により快適に働いてもらうための労働環境改善効果もあるはずです。

メリット⑤人手不足の問題解消につながる

製造業で生産性向上をはかると、人手不足問題の解消にもなります。
人手不足は製造業における大きな問題です。
しかし自動化をはかったり、製造工程を見直したりすると、少ない人員でも製品を製造できるようになります
人手不足と生産性の低さに悩んでいるなら、生産性向上のための対策を実施するべきです。
両方の悩みが解決するかもしれません。

製造業での生産性向上にはさまざまなメリットがある

いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、製造業における生産性向上についてご理解いただけたと思います。
生産性向上をはかると、利益率が高まったり製品品質が向上したりするだけでなく、人手不足の解消にもつながる可能性があります。
これから生産性向上を目指す製造業の方は、ぜひオーセンテックへご相談ください。
向上の手作業を効率化することをモットーとして製品を販売しておりますので、生産性向上のお役に立てるはずです。

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参照:厚生労働省:(PDF)5S活動に取り組みましょう

この記事の著者

オーセンテック株式会社 編集部

オーセンテック株式会社では、「お客様の声を「アイデア」に お客様の笑顔を「力」に「ものづくり」に貢献する会社でありたい」という企業理念のもと、製造現場の生産性向上・人手不足・品質の安定化・環境改善を実現させるため、手作業をなくすための機械(バリ取り機や板金洗浄機など)を開発・販売・メンテナンスしております。
オーセンテック編集部では、これまでの数多くのバリ取り機、洗浄機の導入事例・サポート経験を活かして、バリ取りや洗浄といった板金加工現場でなくてはならない工程・作業に関するお役立ち情報を発信しています。

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