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バリ取りの必要性と時代変化


バリ取りの必要性と時代変化

バリ取りの必要性と時代変化 バリ取りの必要性は時代によって変化してきています。

昔は必要のなかった部分でも、今はバリ取りをしなければならない…そんな時代になってきました。今と昔のバリ取り作業の常識は、どのように変化して、これからどのように変化してゆくのでしょうか?

このコンテンツは、昔、学生時代に板金屋でアルバイト経験のある、30歳の男性と弊社の社員の会話です。

A氏:私も、アルバイトで近所の板金屋さんで働いていた時、板金製品のバリで手を切った事があります。溶接の作業場に材料を運んでいる時の事でした。深い傷ではありませんでしたが、タレパンで打ち抜いた製品のバリだったと思います。

Mr. おでぶ:タレパンで打ち抜いた製品は多かれ少なかれバリが発生するものです。

A氏:それは、どうしてですか? 金型などの整備不足という事なのですか?

Mr. おでぶ:金型のクリアランスなどの調整がしっかりできていないと大きなバリになります。これが、理想的に行われていたとしても、指を切るくらいのバリは必ず発生しています。

A氏:今時の製品には、そんな事全然許されない…そんな時代ですよね?

Mr. おでぶ:ええ…ですが、タレパンだと100%、打ち抜いた方向と同じ向きにバリが発生します。それもかなり鋭利なものになってしまう。タレパンやプレス穴あけなどの加工をせん断加工と言うのですが、 パンチとダイつまり、雄型と雌型の間にはクリアランスと呼ばれる若干の隙間があって、これを高精度で調整をするようになっています。

A氏:何故、せん断で鉄を切らなければならないのですか?

Mr. おでぶ:鉄のような硬いものを切る場合は、せん断加工を行わねばなりません。これは、効率の問題とか費用の問題という事になります。最もエネルギーを使わずに金属を切る方法が、せん断加工であるからです。

A氏:最近になって、バリの問題が大きくなってきたのですね? 昔はどうだったのでしょう?

Mr. おでぶ:クリアランスなどの金型調整の不備によって、大きなバリが発生した場合、 基本的には金型を調整して解決していました。 人の手に触れる部分などは手作業でバリ取りをすれば良い。 昔は、そんなレベルで十分だったのです。

A氏:だけど、私が経験したみたいな作業や、メンテナンスの時など、 普段は触れない部分でも人間が触れる可能性がある部分はどうなっているのですか?

Mr. おでぶ:そこなんです。 PL法などで、大変厳しくなってきていて、 昔は、普段は触れない部分ならバリがあってもOKでしたが、 今は人間が触れる可能性がある部分は、全部バリがあってはいけないはずです。

A氏:それだと、電化製品に使われているタレパンで打ち抜いた板金部品などは、もう全部バリ取りをしないといけない事になりますね。 現状ではもう、全部バリ取り指定となっているのですか?

Mr. おでぶ:凄い勢いでバリ取りもしくはR面取り指定の板金部品は増えていますよ。 しかし、コスト面で限界がある。

A氏:バリ取りって簡単にできるのですか?

Mr. おでぶ:いえ…そんな簡単なものではありません。 もちろん、作業者は危ないし…PL法などは消費者をとことん保護せねばならないという考え方に立つものだと思いますが、 バリに関しては一番進んでいない分野でないかと思いますよ。

A氏:解った。レーザーで切れば良いんじゃありませんか? あれだと溶断だから、バリは無いんじゃありませんか?

Mr. おでぶ:レーザー切断は、せん断に比べると大きなバリは出ません。ですが、ピン角(ぴんかど)と言って、角が立ち過ぎるというか、それでも手は切れるのです。

A氏:え~~~。それは厳しいですねぇ。

Mr. おでぶ:レーザー溶断後のR面取りも増えていますよ。 私は、思うのですが、現在の流れだと、そのうち全ての板金製品は、バリ取りかR面取りをしなければいけなくなるんじゃないでしょうか?

A氏:そうですね。どこの会社でも、誰かが少し怪我をしても大騒ぎになりますもんね。 とことん是正するのが当たり前ですもんね。

Mr. おでぶ:この前一寸聞いたんですが、ある会社で工場内の床に2段ほどの段差のある 部分があったんだけど、それを全面フラットに改装したそうですよ。 何でそんなに面倒な事をするのか聞いたら、そこの段差で誰かがギックリ腰になるという事が数年続いたからだそうですよ。そういった極端な話まで聞こえてくる事から考えると、バリなんて100%なくさないといけなくなると、私には思えてきます。

A氏:板金製品のバリで誰かが怪我をする度に、自動的に図面にバリ取り指定が書き込まれるはずですもんね。でも…何故最初から、そうしないのですか? 他の業界では考えられないでしょう?

Mr. おでぶ:機械加工の分野などでは、設計の工夫によってバリを発生させないようにできる場合も多いのです。 例えば、大企業の品質基準などに明記されたとしても作る側も完全に是正できると思うんです。板金を考えてみて下さい。 タレパンとレーザーで加工した部分の全部をバリ取りするという事になると、 もう、凄い量になります。元々板金製品自体がバリの塊のようなものだとも言えます。

A氏:私個人はバリは全廃して欲しいと思うのですが。

Mr. おでぶ:そうですね。私も同感です。 でも、コスト面で考えると、とてもそのような事は不可能です。 バリ取りは一番遅れた分野と言われています。その理由には、 バリを取る事によって、商品の性能が増すわけでも、売れ易くなるわけでもないのです。 バリ取りによって事故が発生ににくくなるわけです。

これまでバリ取りをしていない場合と比較すれば、加工工程が1つ増えてしまう事になる場合だってある。そこまでしても保険をかけなければならないのに、バリ取りに対する費用は、ほとんどの場合、請求できない。

A氏:え~それってヒドイじゃないですか?

Mr. おでぶ:ここ数十年、製作コストは下がる一方です。 板金屋さんは経営が苦しい中、バリ取り作業も増えるという事になっています。

A氏:コストがかかるのに無視されてるって事ですか?それって、下請けいじめ?

Mr. おでぶ:弊社のサイト内にも、バリ取りのコスト計算について書いてあるページを作成しましたが、こういった事が明記されているページは、ネットでも、ほとんど存在しなかったと思います。

A氏:これまで、こういったコスト計算式などは無かったのですか?

Mr. おでぶ:この式は内容的には常識的なものです。なので、 大企業は気づいていたはずですが、板金屋の企業努力で吸収するのが当たり前…という事になっているようです。

A氏:それでいいのか?日本の非常識!って感じですねぇ。

Mr. おでぶ:企業努力で吸収できる範囲を超えている例が、いくらでもありますよ。こういった事に多くの方に気づいてもらわないと、日本の工業力が、ますます失速するように思います。

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