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ものづくり補助金解説


ものづくり補助金解説

中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業内容の解説 および計画書作成のコツ
ものづくり補助金を使った設備投資をお考えの 板金加工業 経営者の皆様へ

企業経営者にとって、ものづくり補助金とは

ものづくりを行っている中小企業に対して、今年も『ものづくり補助金』が実施されています。ものづくり補助金では、1万件くらいの採択が見込まれており、昨年に引き続き過去最大規模の補助金となり、その特徴は下記の通りです

  • 計画書を提出して採択されれば、約1年後、最大で1,000万円が助成される
  • 2/3補助されるので、1,500万円以上の設備導入で満額となる
  • もらった補助金の勘定科目は雑収入となる
  • 対外的な、企業ステイタスとなり企業評価が上がる
  • 1万件くらい採択されるので、他の補助金とは違い、極めて採択され易い

これらの点が、ものづくり補助金の良い点です。これに対して、問題点は下記の通りです。

  • 助成を受けるまでの間、投資額を1年ぐらいの間、立て替えねばならない(借入などせねばならない)
  • 設備投資された設備を用いた実験/開発を行う事になる。遂行状況報告書やお金の出し入れに関する一切の情報(見積・相見積、発注書、納品書、請求書、振り込まれた通帳のコピーまで)を耳を揃えて書類を整理しなければならない。役所は厳しいので、品番や金額が、完全一致してないと修正を要求される。
     (但し、何処の会社でも決算は行っているので、その気になれば何処でも十分に可能)
  • 開発など行った後に報告書を作文せねばならない。
    5~10p程度? 画像、グラフなども掲載
  • 普段作成していない細かな作業週報などを作成せねばならない場合がある。
    (経費内訳の内容により作業週報無しという場合もある。)
  • 何らかの開発を行い、それに必要な道具として設備を導入するというシナリオを考える必要がある。

採択されれば、後は粛々と実験を行い、お役所の指示に従い書類を作成する事になります。

採択後に失効する可能性があるとすれば、

  • 書類の不備(役所に指摘されても校正しないなど)
  • 報告の無いスケジュールの遅れ
  • 法的な規約違反(虚偽やパテントの問題)

といったところですが、基本的に採択されれば、助成する事が前提で全ての処理が進みます。

採択されて、上記を行えば、最大1,000万円が全てのスケジュールを消化した後(採択の約1年後)に助成されます。

関連する政府のホームページ

中小企業庁HPにある、新ものづくり補助金のパンフレット

全国中央会 平成25年度補正「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業」の1次公募について

東京都中央会 平成25年度補正「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業」について

採択されるために必要な事

これまで、有限会社はもちろん、合資会社や、任意団体でも、ものづくりをやっていれば受付られます。(大企業はダメ) 

では、競争率5倍と言われている採択企業は、どのような内容で計画書を提出しているのでしょうか?

過去の採択テーマのリストから言える事は、ほぼ100%が“×××の開発"となっている事です。

しかし、開発ネタなら何でも採択されるというわけでありません。 採択されている内容は、“目新しいもの"や“聞いた事がないもの"です。

“役人には何も解らないはず"と思われる事と思いますが、この場合、役人は、合否の責任を自分達では取れない事が解っているので、機械学会や塑性加工学会に所属し、企業とは利益関係の無い、大学の学者さんなど有識者の評価によって採択判定を行っています。

有識者達は自分の知識とネット等を使い“これまでに、あったものかどうか"を中心に評価しています。審査する学者は5名もいて、得点上位の約10,000社が採択されます。

つまり、“前からあって、学者が結果を予測出来るようなものはダメ"という事です。反面、トライはしたけれど、全然モノにならなかったという結果でも、開発なのだからそれはそれで報告さえすれば、問題はありません。

現在の段階で長期に渡る何度もの不況を乗り越え、ものづくりを続けておられる企業であれば、 間違い無く、他ではできない何かを、それも複数、持っておられるはず

その内容と、設備投資されたい機械を使って他には無い何かを作る、もしくは、これまでにない情報を得る計画をせねばなりません。

また、その計画に必要な設備等であれば、加工機以外の測定機などにも投資できます。

板金加工業の開発ネタ探し

補助金採択のために計画を行う開発ネタは、従来の事業内容にマッチするものでなければ実際に実験等を行う時に無理が生じるはずです。

これまでにはない自社商品の開発が一番良いのですが、板金加工屋さんで自社商品を持っている会社は極めて少ないでしょう。自社商品自体に新規性が必要となれば、さらに難しい話となります。

“ものづくり補助金を使って設備投資を行いたいとは思うが、うちは、いつもお客から図面をもらって指示通りモノを作っているだけなので、開発的な事は何もやった事がないし、発想も浮かばない" という台詞を、ほとんどの板金加工業の皆さんから伺います。

このような場合には、下記の質問をさせて頂いております。

  • 新しい機械を導入して、これまであまり他社がやっていない加工にトライする要素はありませんか?
  • 生産性などの実験でも内容に新規性があれば、可能性がありますが?
  • 比較的、新しい加工の場合、バックデータ等を整理しておく必要があるはずです。
  • 他社では、ほとんどやっていない新しい材料を使った場合とか。
  • これまで無かった加工条件にトライしてみませんか?
  • 材料特性値と加工性の関連性実験を行う事も考えられますが?
  • お得意の加工や他社ではあまりやっていない加工などがあれば、お教え下さい。

これらの事を考察して行くうちに開発計画案が生まれてくる場合が、ほとんどです。

但し、採択には競合相手もいるわけで、採択されるかどうかは保証の限りではありません。 過去に、このような方法で採択された実績は多数御座います。

補助金対象となる開発時に発生する主な経費

  • 機械装置費;機械設備が買える
  • 外注加工費;部品などの加工を外注する場合(全部外注だとダメ)
  • 直接人件費;およそ時給3000円で計算する
  • 何人でも何時間でもOKだが作業週報など必要
  • 費用によって補助比率は違う場合もあるが、これらの約2/3が補助対象となる

補助金対象に出来ない経費

  • 電気工事費や建物の改装費
  • パソコン、プリンター、デジカメなど汎用性の高いもの
  • 補助金に関する書類を作成する人件費

採択直後の注意点

残念ながら、採択後、説明会に行った直後、15%の企業が辞退するというのが現実です。

その理由は、

説明会の内容が役人用語を羅列した分厚い書類を渡され、超早口で説明を受け、質問時間も無い 状態だからです。“これでは、外国語で説明されたのと同じ。 全く、どうして良いのか解らなかった"という方々が大勢いらっしゃいました。

でも、結局お役人の言っている事は“補助金に関わる部分のみの決算資料を作成して下さい。" と言っているだけです。

また、説明の半分以上は、専門家謝金や旅費など、普通は関係のない部分ばかりです。書類作成は、決められた書類に粛々と内容を記入して行けば良いだけです。

気になる採択後のプロセス

  • まず、採択されれば、1ヵ月以内に計画書の再提出(清書)を行う事になります。 この時点で落選する事は、提出期限切れ以外、ほぼありません。
  • 交付決定通知が来たら速やかに開発を開始せねばなりません。早期に見積+相見積を用意し設備を入手する必要があります。
  • その後は、計画書に従って実際に開発を行って頂く事になります。開発の基本スケジュールは計画書作成(清書)時に自分達で作成した内容です。勿論、スケジュールの変更は可能ですが、最終的な期限は既定されます。
  • 開発の途中で役人が『中間審査』や『最終審査』を行いに来訪します。その時、質問に対して、“コンサルに聞いて下さい"などと答えてしまうと、失効されてしまう場合もありえますので、ご注意ください。また、審査とは言うものの内容は指導に近いものです。

役人は、技術的な内容は解るはずがありません。

しかし、伝票とモノなどのマッチング“だけ"は、細かく行います。 従って、“決算を行う様なもの"という表現はピッタリだと思います。

伝票の整理や、写真などは常に“こまめ"に撮っておかねばなりません。後で、解らなくなってしまった場合、他社の人間が、手助けする手立てがありません。

基本的には、採択後の作業は、お客様自身でなければ出来ない内容ばかりです。補助金の説明書類にも、自力でやって頂く事が明記されています。

実験作業等は内容を自分達で立案したものであり、普通は難しくは無いはずです。

一般的に苦慮されるのは最終報告書の作文です。(5~10pくらい?) 理工科系大学の卒論をまとめるような力が必要ですが、最初の計画書をまとめるよりは、ずっと容易いはずです。

実験開発は、最悪“計画倒れでモノにならなかった"という結果でもかまいませんが、それに伴う報告書は、やはり必要となります。 コンサル会社などに御相談されれば、 役所の資料の具体的な細かい解説や実験指導、作文のお手伝いなどが可能です。

パソコン力について

多くの板金加工業の皆さんが補助金の対応でお困りになるのがパソコンの使い方に慣れていないという点です。 今回の補助金の書類の作成/編集作業においては頻繁に、WordとExcelと多少の画像処理を行う必要があります。

Excelが使える方は、何処の会社でも、おられるかと思いますが、今回はExcelだけでは不足です。 書類作成と修正は基本的にWordで行う作業です。 基本はWordで、その文章の中に、Excelシートを貼り付ける事になります。(OLEという手法です。) なので、Excelも必要となります。

また、最終報告書には画像も貼り付ける事になりますが、デジカメで撮った画像そのままでは、サイズが大きすぎますので、やはり、画像サイズを変更するなど、画像編集能力も少し必要となります。

これらは、少しパソコンが出来る方であれば大丈夫ですが、板金屋さんには、そのような方が全くおられない場合があります。

御近所の、少しパソコンに詳しい奥さんや大学生などに頼むといった事が必要かもしれません。(理系の方がお勧めです。)

全ての提出物を提出した後も、何十回も修正点を言って来ます。 こういった対応に何日も掛っていてはラチが開かなくなります。 PCを使いなれた人が、これらの作業を数分で行い、修正書類をFAXなどで送付する必要があります。

勿論、十分なパソコン環境も必要です。(XPでも良いが、軽快に動く事)

ものづくり補助金に関する考察

ものづくり補助金が存在する理由と苦難な書類作成について

  • アベノミクスの産業保護政策
  • 消費税による景気の落ち込みに対する対策

一般的には上記の理由が考えられますが、「ものづくり」という側面を考察すると少し異なった見方があると考えます。日本のものづくりは長年の海外流出によって加速的に崩壊の道を辿っていると言えるでしょう。

ものづくりに携わる企業は存続するだけでも困難な中、設備投資が追い付いていない状況にあります。 何処の工場でも古い機械ばかりで、このままでは設備面で海外企業にリードされてしまうのが時間の問題です。

設備が無ければ人も育たず崩壊は加速する事になります。タイムリミットは3年といったところではないでしょうか?

企業経営者は、種々のアベノミックスで景気が回復方向にあっても設備投資の前に人件費を上げないといけない状況にあります。

設備の充実は数年後に据え置かれているとも言えます。 ものづくり補助金は、ものづくり企業の設備投資を前倒しで行うための政策である要素が強いと私は考えています。

本来、助成金や補助金は名前からは見分けは付きませんが2種類のものがあると思います。

政府機関が“こんな内容にも支援していますよ"というのをアピールするだけのものと、本当に支援して大きな金額を使って産業分野そのものを支援しようとするものです。

ものづくり補助金は、明らかに後者で、ものづくりに携わる中小企業であれば、一度は計画書の提出を考えてみるべき 内容であると考えます。 “ならば何でも採択すればいいではないか"という考えも浮かぶわけですが、政府や役人にも立場というものがあります。

“国民の血税を何に使ったのか?"と問われた時に、国民を納得させるだけの答えが必要となります。そこで、客観的な有識者による判定が必要となります。専門分野の学者に評価させる事により有益な開発テーマを持っていると客観的に評価される企業に助成を行ったのだ!というシナリオが必要となります。

勿論、各企業で作成される資料は、つじつまの合ったものでなくてはなりません。 何と言っても国民の血税が支払われるわけですから、いいかげんな部分や勘違いが見つかれば担当役人の出世が止まります。採択され説明会に参加した結果、恐れをなして辞退する企業が多い事は非常に残念な事です。

1円の違いも無い各種の書類の束が必要となるのは、納税者の立場から見れば当然 の事です。ものづくり補助金の採択後必要となる書類は、私達でも作成し易いように、かなりの配慮がなされています。

認定支援機関との関係

全国中央会HPの経営革新等支援機関認定一覧

ここでは、ものづくり補助金の計画申請時に必要な認定支援機関確認書の存在理由を考察します。過去に実施された、ものづくり補助金では採択された企業が補助金を辞退する場合の理由の中に、「補助金がもらえるまでの間の約1年間、資金繰りの目処が立たない」というものがあったようです。

採択されていても金融機関に貸し渋りに合う場合があるという事なのです。 ここで問題なのは、技術的には国から一定の評価を受けていて、時期が来れば助成金が入ってくる事がほぼ確定していても、それでも尚、貸し渋る金融機関が存在し、それがまかり通るという事ではないでしょうか?

技術者にしてみれば、自分の知識を総動員して会社を救いたいという一心から、計画書を必死でまとめるはずです。やっとの事で採択されて国から評価されても、会社を救う事が出来ない。

そのような事で本当の技術者が育つでしょうか? 国家にとって、官僚にとって、これは都合が悪い事なのでしょう。

認定支援機関確認書には、前もって採択された場合の一時的資金調達先に事実上の推薦状を用意させる事で、採択後の辞退理由の中から“貸し渋り"を少なくしたいという意図が見えてきます。

認定支援機関確認書は一種の推薦状のようなモノですが、そういった問題点を是正するための試みとして少しは有効であるように思われます。

しかし、残念ながら、現在、確認書を作成する認定支援機関にも大いに問題はあるようです。技術的な内容は全く解らず、計画内容を指導するという名目でトンチンカンな指示をする認定支援機関が多数存在します。学者に解る専門用語を使ったら、お役人が読んでも解らないはずだからという理由で全部用語説明を加えるように指導したという話もあります。

さらに、ものづくり補助金の特別性(通り易さ)を理解せず、数人の板金加工業者に対して、工学博士が作成するような補助金、助成金のレベルの内容に書き換えてくる事を要求した認定支援機関も存在します。

認定支援機関側が補助金の内容を正確に理解せず、間違った指導をする事によって、申請が間に合わなかったという悲しいケースも耳に入って来ています。

国は認定支援機関に対して、少なからず計画内容を理解した上で、文章等のおかしな部分は指導等行うように指示しているはずです。

しかし、認定支援機関では弁理士等を雇いリスクの少ない貸し付けを増やす事のみを考えているようにしか見えません。後先考えずに、なにがなんでも採択させたいと考える場合もあるようです。

そもそも、レベルが低い計画書の内容を大幅に変更させたところで、採択後の開発等が追い付かないはず。その製造業などにとって等身大で精一杯の計画書となっていれば、採択されようと、されまいと、誰も文句は付けられないという大事な事を理解していない 認定支援機関は多いようです。

官僚の中には認定支援機関に問題がありそうだという事に、気がついている人がいて、外部機関に調査を依頼しているようです。これらの実態は近いうちにレポートされ、次回のものづくり補助金などに反映されるのでしょう。

流石官僚!といったところですが、計画書を作成する側は、認定支援機関の間違った指導には気をつけなければなりません。 私の考えでは、認定支援機関で指導できる内容と言えば、文章校正と若干の加筆の指導(表を加えては?とか画像を入れたほうが解り易いですよ、とか)くらいしか無いはずです。

採択された場合は国家にとって必要と認められる立派な計画書なのだから、認定支援機関等が無条件で貸付を行わなければ、国家の損失 と言えるのではないでしょうか?。 [2014.5.30 現在]

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