003

錆びとR面取りの関係


錆びとR面取りの関係

錆びとR面取りの関係 バリがあると、そこから錆びる!

R面取りを行った板金製品は、錆びにくくなるって本当?

鉄は何故サビるのでしょうか?  鉄(Fe)が空気中の酸素(O2)に触れると、酸化と呼ばれる化学反応が起こります。この反応により出来たものが、酸化鉄(FeO)いわゆる『さび』と言われるものです。 少し難しいですが化学反応式で書くと下のようになります。

2Fe + O2 → 2FeO

また酸化は空気中の水分が多いと活発になります。 鉄で出来た板金製品は、そのまま放置されると必ず錆びます。その対策として板金部品の多くは、塗装やめっき処理が行われます。 塗装などを行う直接的な目的は、空気からの遮断ですが、 一見、塗装やめっき処理が行われていも、やっぱり錆びしまう事は多いのです。

塗装された板金製品も、屋外に放置されて時間(2~3年)が経てば必ず何処かから錆びが発生し、最後には赤錆びの塊となってしまいます。

この事を、塗装のプロに聞いてみると、

  • “素地調整が不備ならば、その分、早く錆びが発生します。"
  • “塗装失敗事例の半数以上は素地調整の不備が原因です。"

と言う言葉が帰ってきます。 つまり『素地調整』こそが錆対策として最も重要なのです。

バリやピン角のある板金製品は、塗装職人から言わせれば、素地調整不備の典型であり、塗装に失敗するのは無理からぬ事なのです。

そこのところを、もう少し詳細に考えてみましょう。

塗装した板金製品に錆びが発生した例

下記の画像は、一般的な板金部品に対して塩水噴霧試験を行ったサンプル画像です。 明らかに、バリの部分から錆びが発生している事が解ります。

皆さんの暮らしの中でも、海岸線に近い地域においては多くの塗装した鉄製品に錆びが発生していると思います。

しかし、そんな製品でも一挙に鉄製品全体が錆びるのではなく、錆びている部分と錆びていない部分があります。錆びている部分の大半は製品の角の部分から発生した錆びであるはずです。

板金製品に錆びが発生する本当のメカニズム

化学的な錆びの発生メカニズムは前に説明しました。

では、何故、塗装してあるはずなのに、素材の鉄が空気に触れてしまうのでしょうか?

塗装技術を考えた場合、均一な塗膜厚である事は理想です。

しかし現実には均一な塗膜厚を得る事は、ほぼ不可能です。

下図のように角の部分は平面の部分と比較して、かなり薄くなってしまいます。 これが、バリやピン角となれば、塗膜は極端に薄くなります。

さらに塗膜は2年も経てば硬化し体積も減少します。 つまり、塗装は硬く、脆くなって両側から引っ張られるのです。

この塗膜の薄い部分に力が集中し亀裂が発生します。 板金製品は、多くの場合、この亀裂によって素材の鉄が空気に触れてしまうのです。 これらにより、R面取りを行っていない板金製品は、塗装を行っても、バリやピン角から錆びが発生する事になります。

本当に塗装不良なの?

塗装をした板金製品に錆びが発生し、客先からのクレームとなった場合、その処理や対策は、どのように行われて来たのでしょうか?

多くの場合、塗装の不具合と認識され、塗膜を厚くするとか、塗料を替えるとかの対処方法が選択されて来ました。

しかし、塗装屋さんからしてみれば、それらが対処療法に過ぎない事は明らでした。 本当は『素地調整』が肝心なのです。バリやピン角だらけの板金部品に塗装していては、どうしても錆び対策に限界があるのです。お客さんは“塗装なんて、そんなものだ"と言い、塗装屋さんは、“板金なんて、そんなものだ"と言います。そんな時代が50年以上も続いてきたのです。

大損の歴

これらの事が、多くの塗装をした板金製品に及ぼしてきた影響は極めて大きなものです。設計者は塗装による防錆効果を信用しなくなりました。

設計者は、製品の材質に鉄よりも錆びにくいステンレスを選択するケースも増加しました。

しかし、ステンレスは鉄よりも、かなり高価なのです。勿論、その製造工程で消費するエネルギーも何倍かになります。本当は鉄+塗装で十分な場合でも、高価な材質が選択され、過剰品質となってしまっているケースが多々あったはずです。

この事は、製品の価格を高騰させる大きな要因の1つだったはずです。

板金部品を製造する時、半製品を、せん断加工を行ったままの状態で塗装工程に送る事は板金加工の常識でした。設備や手間を考えれば、これまでは、そうするしか無かったのです。

でも、これからの時代は違います。R面取りは、板金製品の常識を覆す可能性があるのです。

日本の板金製品のアドバンテージに

R面取りを行う事は塗装した板金製品の錆び対策として、まず第一に行うべき事であるはずです。

しかし、世界のバリ取り機を調査したところ、バリ取り機はバリ取り機なのであって、R面取り機では無い場合が多かったのです。

ピン角もしくは糸面(微細なR)までを目的とした機械が多く、R面取りが出来る機械は極めて少ないか、あるいは、あっても高価なのです。海外の板金屋では、日本よりも大ざっぱな仕上げしかなされていなし、そんなニーズも無いと思っているのでしょう。

ここで少し視点を変えて見ましょう。

日本としては、これを逆手に取る事が出来るはずです。日本の板金工場でR面取りを行えば、鉄+塗装の板金製品において「海外製は直ぐ錆びるが日本製は、どういう訳か、なかなか錆び無いものが多い」という事になってゆくはずです。

また、日本で加工する場合は、鉄で良いが海外ではステンレスを用いねばならないという事になる可能性もあるでしょう。

ものづくりの海外流出を止める方法の1つがR面取り

バリは危険ですが、バリ取り作業は、もっと危険です。

これまで、労働者を危険で汚いバリ取り作業から救うのがバリ取り機の仕事でした。

しかし今や、それだけでは無くなって来たのかも知れません。 “日本は人件費が高い"と言われ続けて40年。

でも、これからもそうなのでしょうか? アジア諸国主要都市の消費者物価の差は、ほとんど無くなって来ていませんか?

人件費の差は、日本のものづくり技術で、十分カバー出来る範囲になって来ているのではないでしょうか?

今回の例はステンレス製品を鉄製に替えても、 R面取りを行えば十分な防錆効果が期待でき、製品の材料費を半分以下に抑える事も可能というお話です。

さらに、その技術は日本にアドバンテージがあるとなれば、板金部品製造分野の海外流出をくい止める力となりうるはずです。

まとめ

鉄+塗装の板金製品が錆びる原因の大半は、バリがあるからです。 R面取りを行えば、塗装が均一に乗り、結果的に大きな錆対策となります。

R面取りは、これからの時代の日本の板金部品製造業の大きなアドバンテージとなる可能性があります。

Special Contents (論より証拠!)

R面取りと錆びの相関関係を確認するための実験を行いました

塩水噴霧試験

JIS規格「JIS Z2371」で定められた環境下(試験条件)で 対象ワークに塩水を噴霧し続け、錆の発生程度を確認する試験 「JIS Z2371」:環境下(試験条件)

  • 雰囲気温度:35±2℃
  • 塩水濃度:5±0.5%
  • pH調整:6.5~7.2
  • 使用水:イオン交換水
  • 噴霧圧力:0.098±0.01Mpa
  • 塩水噴霧試験機に、ワークをセットした様子

「24時間塩水噴霧試験結果」

バリ取り(R面取り)による防錆効果が確認できます。

塗膜(塗料)の断面観察

バリ取り(R面取り)量が多いほど、塗膜(塗料)が厚くのることが確認できました。

お問い合わせ先

オーセンテック 株式会社

〒252-0303 神奈川県相模原市南区相模大野3丁目3番2-225号

電話番号:042-701-0285  ファクス:042-701-0286 Eメール:info@authentec.jp